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第43話
血染めの丘を後にした男の子は、無色の王の下へ戻るべく山々を往く。二日を掛け大穴の空いた丘を越えた折、彼はその麓で立ち上る火を見つける。
男の子にとってそれがなんであるかは一目了然であった。天まで伸びるは戦の炎であり、煙に乗って漂う鉄と肉の焼ける臭いがそれを明瞭に伝える。
急がねば。言い知れぬ何かに囃し立てられ、風よりも速く地を駆けていくのだった。
急ぎそばまで近づき、様子を見てみれば、そこは村と呼ぶには大きい程度の規模の集落があり、砦のようである。
男の子が遠くから見る巨大な鉄と岩で舗装された城壁は、生半可な攻撃ではびくともしないであろう頑強さを伺い知れる。
しかし、中の人間を守護する筈の城壁は、まるで天を衝くほどの大槌でかち割ったように崩れ去り、見るも無惨な有り様で役目を果たせずにいる。
そこから蟻のように赤い鎧の兵士たちが雪崩れ込み、燃える町々を舞台に黒い鎧の兵士たちと血で血を洗う殺し合いを繰り広げていた。
赤い鎧の兵士達が掲げる旗は、彼らが赤の女王に連なる者達である証左であり、一方の黒い鎧の兵達は彼らと敵対しているようで、砦を舞台に苛烈な剣戟を繰り広げている。
集落は既に復興のしようがない程に壊滅し、悲鳴と怒号が鳴り響く度に命の灯は掻き消え、血糊が飛散し大地に暗い紅色が染み込む。




