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第42話

力業ではどうにもなくなり、仕方なく彼等は魔術に精通した兵達を集わせ、丘をまるごと削ろうと画策すれば、魔槍を構成する刺の一本が飛び出し、術をかけようとした者達の身体を次々に穿ち殺してしまう。


もはやこれまでか、と兵達が諦めていたそのとき、男の子がその場に現れ槍に手を伸ばす。


すると槍は先程まで微動だにしなかった事が嘘のように、軽々と地面から引き抜かれ男の子の両手に収まるのだった。


これには抜いた本人すら、あまりに呆気がないことに肩透かしを受ける。その様を見た兵士達は一瞬ざわめくと、これ幸いといい彼から槍を奪わんと包囲する。


だが、彼らは奪うことができなかった。なぜならば、菫色の魔槍は自らを奪おうとする者の気配を察した途端、男の子の手を離れ天に舞った次の瞬間には刺の雨が降り注ぎ、男の子以外の者すべてを串刺しにしていく。


ふと、男の子は魔槍の柄に一文が彫られていることに気がつく。そこにはかつて燕尾服に教えてもらった言語が刻まれていた。


曰く、我はあらゆる悪徳を赦さず、我が身を番うべき者は勇気ある者のみである。力を捧げよ。或いは不徳なる者、罪ありき者の血を供物として我へ捧げたまえ、と。


その一文の通り、菫色の魔槍は棘の先から穿たれた兵の血を啜り胎動させている。あっという間に兵達の亡骸は骨の髄まで飲み干され、見るも無惨な木乃伊(ミイラ)だけが遺された。


男の子は手にしている魔槍を見れば、捻れ狂う棘の鋭さが一層と増しており、これが刻印された一文のあらましを無言で語っていた。


息を飲む男の子は辺りに横たわる木乃伊達へ、せめてもの慈悲として丘へ埋葬し、遺品の武具で墓標を作り、祈りを捧げた。

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