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第40話

その日の晩になれば、ひとり星を眺める男の子の前に、隻眼の導師が虚影をもって現れた。導師は此度の男の子の行いを大変残念がるようで、なぜかと問えば彼は殺戮で事を収めては獣と相違ないからであると答えた。


続けて導師は自身の託した菫色の魔槍についても話す。曰く、男の子が昼間に見せたように、あの槍は本来矢として弓に番うものであり、神の創りしその矢に呼応する弓もまた存在する、と。


同時に、それゆえ人の手による弓ではどれ程の業物であろうとも菫色の矢を放つことはまず不可能であり、すぐれた射手を数十人集めて弦を引かせることで漸く放つことができ、それでも尚矢は力の一端を披露するに留まり、また射手にはいずれ大切な何かを喪失する呪いを与える、とも。


しかしてそうだとしても戦場を蹂躙させるには十二分に足り、あの矢はそうしていくつも人の手を渡り、幾多の戦争を越えその身を鮮血で彩ってきたのだ、と締め括られる。


なぜそのような話を自分にするのかと問う男の子に、導師はその矢を赤の女王が狙っているからに他ならないと告げる。


あの矢が戦と不浄を愛する圧政者の手に渡ればあとは語るまでもない。仇なすものは神のもたらした遺産の前に血塗れの身体を晒すのみ。


起こりうる最悪を男の子に語り終えると、最後に時間はないとだけ残しその姿は夜風に乗り消えて行くのだった。

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