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第39話

無色の王は男の子にこれまでの健闘を称えると共に、今だ眠る連れと逃げるといいと述べるが、それを断固として拒否し、なにか手はないものかと思案する。


ふいに、彼は以前毒を撒き散らす悪魔との一幕を思い出す。弓矢が通用せず、投槍で敵を仕留めた件になぞらえる形で、背負っていた菫色の魔槍を矢の代わりに番う。


奇妙なことに、幾ら腕の力を込め弦を引けど魔槍は放たれない。今まで容易く振るえた魔槍は、まるで大地に縫い付けられているようにびくともしない。


やむ無く男の子は持てる全ての力を使い、弦はおろか弓が悲鳴を上げる程引き絞り、自らの雄叫びと共にようやく射ち出された。


発射と同時に弓は真っ二つにへし折れ、その代償として放たれた魔槍は空を裂き、槍自体が螺旋を描きながら、閃光をも凌駕する程の恐るべき速さで飛んで行く。


魔槍は蛇を木端微塵に吹き飛ばすどころか、その遥か遠くに見える小山を二つは貫き、通り過ぎた足跡には、大地が抉れるほどの惨状が拡がっているのだった。


男の子は絶句した。無色の王も同じであり、我が目が狂ったのかと錯覚するほどである。


一刺しで戦を終わらせるなど造作もない。魔女の言葉を思い出し、それが嘘偽りないことを身をもって知ることとなった。


抉られた大地を見れば、先程までいたはずの冑纏う蛇の列が跡形もなく吹き飛んでおり、男の子にとって神の叡智に畏怖を覚えた二度目の瞬間であった。


結局は敵の悉くを殺戮する形で身を守ることとなった男の子は、せめて無惨に消し飛んだ兵達に対する鎮魂となるのであれば、と思い目を伏し祈りを捧げるのだった。

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