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第37話

気がかりな様子で見つめる男の子を気遣うように無色の王は、それはまだ生きている、と優しげに告げる。


安心を覚え、一息吐く男の子に対して、無色の王は先程までとは異なり、真剣さを醸し出す口調でなぜ行き倒れと化していたかを問いかける。


男の子は自身の記憶にある限りの事実、黄金の居城においての一幕を説明する。一部始終を聞き届けた無色の王は、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。


男の子は理由を問うと、あの女こそ百年にわたる争いの発端であると、怒りを露にする。


無色の王は言う。女王の持つ姿は天から授かりしもの。決して老いることのない美しき少女である。


また、その声は実に心地よく、一言耳にするだけで世の男の脳髄を蕩けさせ、二言目には抗い難い誘惑に駆られ、三言目には絶対の忠誠を誓わせる。


しかして実態は、相反する要素を兼ね備えた魔性。無垢にして悪辣。婬魔にして清廉。花も恥じらう乙女の化粧の裏側、そこから見え隠れするはもうひとつの顔、男という味を貪り尽くした美食家の素顔。


神から授かりし、万人の愛を頂く、人を統べるに相応しい肉体。それを我欲に費やし、淫らな性と戦場の血煙に溺れる外道。それが赤の女王である、と。

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