第36話
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男の子は全身から発せられる途方もない激痛で目を覚ますと、彼の視界には見覚えのない天井が映り込む。
ふいに、目覚めた男の子に向けて声を掛ける者がひとり。それは緑色の外套を纏う金髪の美丈夫であった。頭部には二本の獣と思われる耳が生えており、それはヒトの間で獣人と伝えられる悪魔の血縁の証左であった。
彼は男の子の顔を見るなり、恰も幽霊に出くわしたかのような顔を浮かべる。微かに警戒を覚えた男の子に敵意が無いことを示すため、両手を上げこの場所へ至る経緯を話すと告げる。
曰く、三日程前に河の下流に流れ着いていた男の子を見つけ、その際は全身の骨が砕けていたのにもかかわらず、身に付けていた外套を掛け布団代わりに被せていると、みるみるうちに治っていったのだという。
男の子が一礼と共に貴殿は何者であるのかと問うと、金髪の美丈夫は、自身を無色の王と名乗り、赤の女王を相手にひとりで戦っている者であるという。
男の子はまたひとつ礼を述べると同時にもうひとつ、自分とともに流れ着いた者はいないかと問いを投げかける。
無色の王を名乗る彼が指差す方には、死んだように眠る燕尾服の姿があった。グリザイユ調の仮面で隠されていた素顔が露になっており、まるで人形のように整えられた、やはり男とも女とでもとれるものであった。




