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第17話

勇者の少年は先程焼き殺されたなにかをついて思いだし、あれは何であったのかと少女騎士に問いかける。


赤髪の少女はあれを舵虫と称し、死霊使いは遺体という船に舵虫を取り付かせることで口無き廃船を自由に動かすモノで、熱と光を何よりも嫌う、と答えた。


それと同時に、舵虫の行為は命に対する冒涜であるとも述べた。なぜかと男の子は訊くと、少女はバラバラに散らばる氷となった肉に憐憫の目を向けながら答えた。


以前、わたしに叡智を授けた隻眼の導師は言っていました。命は生ある限り死からは決して逃れることはできない。だから、いや、だからこそ、どれほど過酷な運命を背負い、長い旅路の果てに無念の最期が待ち受けようとも、命の意味は本人が『これでいい』と思えればいいのだと。故に舵虫、ひいては死霊使いはその命の意味を貶め冒涜する行為だ、と。


それを聞いた勇者は、その表情を戦場に立つ戦士のものから、憂いを込めた一人の男の子のものへと変えた。


母も、そう思えたのか。あの炎の濁流のなかで『これでいい』と、思って冷たくなったのか。


男の子は、そう思わずにはいられなかった。あの晩、すべてが、すべての大切な何かが燃え尽きていくあの場。欲望と暴力が渦をなしてあらゆるものを呑み込む地獄で。


我が母は、本当に──。赤髪の少女の話を聞き野宿をした晩、男の子は頭のなかにただ答えのない疑問が反響し続けていた。

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