プロローグ
「結婚式!?」
思わず声を上げたメイリアスに、ダリウスは慌てた。
「大きい声出すなよ! 誰かに聞かれたらどうするんだ!」
と、そわそわと周囲の様子に気を配る。青い廊下は今日も静かだった。
ダリウスは少し声をひそめて言った。
「っつか、当たり前だろ? それくらいやらなきゃ……お、親とかも心配するだろうし」
「でも、気持ちはうれしいけど、あたし、まだメイド続けるつもりよ?」
と、呆れたように言うメイリアス。
「なっ、何でだよ」
ダリウスは少し口をとがらせた。
「オレのところに来れば、仕事なんてしなくたっていいだろ」
「じゃあ、ユーティアはどうするのよ? 新しい子に代わっちゃったら、あの子が困惑するし、また何かあった時に巻き込む人が増えるだけよ?」
メイリアスの言うことは最もだった。今のまま、これまでどおりにしていた方が何かと都合がいい。
「で、でも……それじゃあ、お前はいつ嫁に来てくれんだよっ」
と、たえかねたダリウスが声を荒らげる。
メイリアスは少々困った顔をしながらも、冷静に返した。
「とりあえず、あの子が平和を取り戻してからね」
そしてメイリアスは彼の頬へ軽くキスをした。
「そういうことだから、すぐには結婚できないわ」
「っ……」
悔しそうに口を閉じるダリウスだが、彼女からのキスにすっかり頬がゆるんでいた。
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