表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
センエース  作者: 閃幽零×祝百万部
第A章 この絶望的な地獄をタイムリープで乗り越える!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/31

18話 校長の自爆大転落、前編。


 18話 校長の自爆大転落、前編。


 ガキの頃からウェブ小説が好きだった。

 悪役令嬢、追放モノ、ダンジョン配信、全部大好きで、

 ――特に、シンプルな異世界転生にあこがれた。


 俺も異世界に行きたかった。

 このクソみたいな世界から飛び出して自由になりたかった。


 昔から人づきあいが苦手で、不器用で、

 友人はおらず、恋人ができたこともない。


 運動、勉強、芸術、何の才能もなく、

 ルックスも平均以下でセンスも平凡。


 それでも折れずに頑張って生きてきて……

 でも、いいことなんか、何もなくて……


 だから、ユウガにほめてもらえて、情けない話だが、

 本当に救われた気持ちになってしまった。

 中学生に慰められて涙ぐむ38歳のオッサン……ほんと、ざまぁない。


 ★


 翌朝、ユウガがつくった朝飯を食べていると、チャイムが鳴った。


 俺が出ようと思ったが、ユウガが先に立ち上がって出た。

 なんでもかんでもやりたがる。

 うかうかしていると、俺の着替えまで手伝おうとしてくる。


 もしかしたら、依存体質なのかもしれない、と最近の俺は慎重に彼女に接している。


 玄関先でわされる声が、やけに聞き覚えのあるものだったので、俺は箸を置いて腰を上げた。


「先生、訪ねてきたのは、時空ヶ丘学園の校長です。……先生と話がしたい、と」


「……校長? 話?」


 いまさら何が?

 と思いつつ、俺は玄関に向かう。


 ドアの向こうに立っていたのは、半年前とほとんど変わらない、恰幅かっぷくのいいスーツ姿の初老のオッサンだった。


「ひさしぶりだね、閃くん」


「あー……まあ、そうですね。半年とちょっとでしょうか……で、なんすか?」


「単刀直入に言おう。学校に戻ってきていい」


「……はい?」


「晴れて教職復活だ、おめでとう」


「……ちょっと意味が……」


「何も考えなくていい。今、無職で大変なのだろう。戻ってきていい。感謝は必要ないよ。困った時はお互い様。これも人助けだ。慈悲じひであることは理解してほしいね。ゆえに、私が困った時は、手を差し伸べてほしいもの」


「……」


 これ、何かあったな。

 なんだろうな……


 と、思っていると、後ろからユウガが、


「先生、おそらく、この炎上が要因かと」


 そう言いながら、スマホの画面を差し出してきた。

 ネットのまとめ記事だった。


 要約すると、俺がちょっとバズったことで、

 世間の風が、『閃先生、責任とらされてかわいそう』の風潮にながれたらしい。


 その火は瞬く間に燃え上がり、今では『かわいそう』を超えて、

 『閃先生を無理やり追い出した学校は鬼畜』という話になっているらしい。


「署名活動も起こっているようですよ、先生。不当な圧力で、何の責任もない教師を追いやったとして、人権派の弁護士や政治家も動いているようです」


 ……すごいな、世間の風ってのは……

 俺がやめたときは、俺のことを、『クソ以下のゴミ教師、死ね』と散々たたいていたくせに。


 まあ、俺をたたいていたやつと、いま俺を擁護しているやつが同じかどうかはわからないから、一緒くたにして、手のひら返しと言い捨てるのも違うか……


 そんなことを考えている間にも、校長は、待ちきれないというふうに口を開いた。


「さあ、今日からさっそく戻ってもらおうか」


「あ、いいです」


「いいです?」


「はい……あの、教師に未練がないわけでもないですが……ようやく、ダンジョン配信が軌道にのりそうなので……」


 校長の眉間に、初めてシワが寄った。


「未練がないとかそういう問題じゃない。君が戻ってこないと、面倒なことになると言っているんだ。そのぐらい分かりたまえ」


「そうですか……大変ですね。頑張ってください」


「私を助けようと思わないのか」


「そう……ですね……俺は助けてもらってないので……」


 その一言で、校長の顔つきが、目に見えて変わった。


「そんなんだから、君は、こんな悲惨な状態になっているんだ! 君は、ずっとそうだが、人格的に問題がある! これまでもずっと、問題ばかり起こして!!」


 そこで、ユウガが、


「問題を起こしていたのですか?」


「……優等生な先生ではなかったね……」


 校長は、だんだんと顔を赤く膨らませて、


「教師と生徒の間で問題が起きたら、まずは職場を守るために動く。それが学校を守るために必要なことだという、当たり前のことすら理解できていなかった。君のせいで、どれだけ学校が迷惑したと思う!」


 そこでユウガが、俺の袖をひいて、


「なにをしたんですか?」


「女子トイレにカメラを仕掛けたバカ教師がいたんだよ。隠蔽いんぺいするために協力しろって言われたから、さすがにそれは無理だろう……と言ったら、頭おかしいのかってむっちゃ怒られた」


 そのあと、いやがらせで、業務をめっちゃ増やされた。

 学校の仕事というのは、やることが無限にある。

 教師全員でちょっとずつ分担しているわけだが……

 その『ちょっとずつ』が、なるべく多く、俺に集中するよう裏から手を回された。


 あれは見事な采配さいはいだったよ。

 おかげで、毎日家に帰るのが1時過ぎになり、登校する時間が5時になった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
とんでもない校長だ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ