令嬢の誤算
Ayumitales by Souji Yamato
拡張施設『天空の城スカイラウンジ』が、完成した日の昼下がり――
いきなり、アレクサンドル子爵領『レクサンドルの町』中央広場に、転移ポータルが出現しました。
その転移ポータルは、地面に展開された魔法円陣の2メートルほど上に、文字『P』が浮かんでいるデザインです。
程なくして、召喚士アユミ(男子)と、女子『魔道士ミトン、蛮族戦士ウルガ、治癒士セシル』が、転移して来ました。
セシルが呟きます。
「地図の大まかなポイントを、指定するだけでも、転移が出来るなんて‥‥」
「凄いぞ、ウルガは、感動したのだ!」
ウルガが燥ぐのを見て、アユミとセシルが、微笑んでいます。
ミトンが、アユミに言います。
「これなら、別の大陸にも、当然、行けるかも?」
「けど、衛兵に、検挙される恐れが無い場所にしか、転移ポータルを設置できないのが、難点だけどね」
「それだと、逆に、殆どの人里に、行けないわけか‥‥」
ミトンが、悩みながら、そう言いました。
けれども、ウルガが、屋台を発見したので、アユミたちは、そちらに向かうことにします。また、ミトンも、気持ちを切り替えて、付いて行きます。
ところが、アユミたちが、屋台で串焼きを、買い終えた時、町の衛兵2人に、呼び止められました。
衛兵の一人が、詰問します。
「あの魔法円陣は、お前たちの仕業か?」
「この町の領主の娘である、私の仕業よ!」
ミトンが、そう告げました。
すると、衛兵は、事務的に返答します。
「我らでは、貴女が、領主様の娘である事が、判断できません。
衛兵『詰め所』まで、来て頂けますか?」
「‥‥えっ?」
これは、ミトンにとって、誤算だったようです。
仕方なく、アユミたちは、衛兵に連れられて、詰め所へと向かいました。
こうして、アユミたちは、領主の使いが来るまで、衛兵『詰め所』で待たされてしまいます。それで、待つこと、1時間あまり‥‥やっと、領主の使いである『若い執事』が、詰め所を訪れました。若い執事が、衛兵に告げます。
「確かに、お嬢さまだ‥‥
それでは、衛兵の皆さま、お嬢さま達を、屋敷に連行して頂けますか?」
「ちょっと‥‥」
「お静かに!」
ミトンが、異論を唱えようにも、若い執事は、聞く耳など持つつもりが無い様子です。結局、アユミたちは、問答無用で、領主の屋敷まで連行されました。
おまけに、領主の屋敷でも、アユミたちは、応接室で待機させられました。
それと、アユミと仲間たちは、僅かながら警戒しています。
斯くして、魔道士ミトンは、もうすぐ、両親と再会するはずです。
Ayumitales by Souji Yamato




