6/34
時々のおしゃれスウェット
それ以来、日曜日の朝
高瀬とゆうはときおりパン屋で顔を合わせるようになった
もしかしたら
こうして以前から店で会っていた可能性もあるが、他の客のことなど気にしたことがなかった
いつもの日曜日
いつものパン屋に
時々
おしゃれスウェットの高瀬が加わった
帰りに
パン屋近くのコーヒーショップでコーヒーを買い
公園のベンチで新作の品評会をすることもあった
とはいえ
会話はそんなに弾まない…
ゆう
「このチーズのとろみ具合がいいですよね?」
高瀬
「そうですね
もう一つのチーズパンもいいですが…」
ゆう
「ですね…」
。
。
。
風にゆられる木々のざわめき
太陽にきらめく噴水の水音
語り合う鳥のさえずり
家族連れの幸せそうな笑い声
そこに
全く馴染まない
ベンチの若い男女…
高瀬は必要以上のことはなにも話さない
ただ目の前のこと
投げかけられた質問に答えて終わる
なのに、ここで一緒にパンを食べている
何が楽しくてこうして一緒にパンを食べるのか…
失礼かもしれないが…それも謎だ
わたしに興味が?
まあ、それは万に一つもなさそうだ
もしその片鱗でもあればまだ納得できる
でも
ゆうには…ひとつだけ
この時間がちょっとだけ好きな理由がある
それは…
高瀬の落ち着いた声
たまにしか聞けないその声は
ゆうの耳にとても心地よかった
日曜日の朝の密かな楽しみになっていた




