思いのたけ
ゆうの涙が止まるのを待って
高瀬が口を開いた
高瀬
「ゆうさん
あのレストランであなたの名前を聞いた時
僕は…
君が純平の妹だと言うことがすぐにわかりました」
「写真を見せてもらったことがあったからと言うのもありますが…
君の目元がとても純平によく似ていたから…
なので…
あの時は言葉少なになってしまって…」
「僕が同僚であることを伝えるべきか…
悩みました
でも結局、僕には言えなかった…
君がどう言う気持ちになるかを思うと言えませんでした」
ゆうは小さくうなづきながら話を聞いていた
高瀬
「思いがけず…あのパン屋でまた君に会えて…
本当に驚いた…
僕は…嬉しいと思う反面
ほんの少し…
胸が苦しくなるような気持ちにもなりました」
「君は
純平が話していた通りのとても純粋で可愛いらしい人で…
純平が大事に思うのもよくわかる…と
会うたびに思っていました」
「ほとんどパンの話でしたけど…
パンを目の前にして目を輝かせて
美味しそうに食べる君をみていると
ああ、純平も…こんなふうに君をみていたのかなって
思ったりしていました」
「最初は、君にどこか純平の面影を見ていた
ところもありました」
二人の間に
一瞬少しだけ涼しい風が通り抜ける
……高瀬は続けた
「でも…いまは……違う」
「僕の日常に、君は彩りを添えてくれた
君のいつも斜め上からくる言葉に
いつしか自然と…
笑顔が溢れるようになっていました」
「ゆうさん…
僕は、これからもこうして
一緒に過ごしてほしいと思っています」
「メロンパンだけじゃなく他のパンもたくさん試食したりして…
…って、話はあまり弾まないかもしれないし
気の利いたことは言えないし…
純平のように明るく盛り立ててあげられるわけでもない
でも、君のそばにいて
君がいつでも安心していられるように
してあげたい…
ひとりよがりかもしれませんが…
そう思っています」
「あの…すみません…
一人で話しすぎましたね…
でも
これが今の僕の気持ちです。
受け取って…もらえますか?」
そういって俯いた
高瀬の肩が
小さく震えているのをゆうは感じた
高瀬の
兄への思い
妹である私への思い
そして、妹というだけではない私への思い
時々、言葉に詰まりそうになりながら
不器用に伝えられたその言葉が
どれほどの痛みを乗り越えて届けられたのか
伝わってくる気がした
ゆうはその深い思いを噛み締めていた




