虹
ゆうの目に浮かぶ涙は
もうさっきまでの涙とは違っていた
ただまっすぐに高瀬晴人を見つめていた
ゆう
「そのスウェット…お兄ちゃんも着ていたこと
お話聞いていて思い出しました」
「一緒にお買い物に行った時に」
「なんでスウェットなの?って
ラフすぎる格好がおしゃれなカフェには不似合いに思えて…笑 私、子供でしたよね…
ちょっと恥ずかしかったことも…思い出しました」
高瀬は自分のスウェットを少し引っ張った
「ごめん…」
ゆう
「いえいえ、高瀬さんが謝ることでは…」
ゆうは高瀬に優しく微笑んだ
ゆう
「私こそなんて鈍感だったんだろうって思います。
ずっと、兄が企画したそのスウェットを高瀬さんが着てくれていたのに…
何も気づかないなんて…
ダメな妹ですね笑」
「高瀬さんには本当に感謝してもしきれないくらい笑」
「この数ヶ月…私を前にして苦しい思いになったこともあったはずなのに
変わらず、私とこうして日曜日を過ごしてくれていた…
なにも…言わずに…」
「きっと兄も、さすが俺の晴人だなっ!て
言ってると思います」
「お兄ちゃんってなんかそう言う言い方しませんでした?笑」
…高瀬は改めてスウェットをみつめる
ゆう
「今日はいい命日になりました
こんな素敵な報告が兄にできるなんて…
お兄ちゃんもびっくりするんじゃないかな…笑」
「これまで高瀬さんって、優しいけど
正直、何を考えているのかも、私のことをどう思っているのかも、わからないなって思っていました
あまり、自分のことを話してくれなかったから…
まあ…私も話さなかったですけど…」
「でも、それには理由があった」
高瀬
「いや、それは僕が
上手に伝えたり…できないからで…
それと…僕の…….」
高瀬がそこまで言いかけたところで
ゆうは高瀬の言葉を遮った
ゆう
「でも…
高瀬さんの深い思いがあったからですよね。
…私はそう思っています」
「私が彩りを添えたって高瀬さん言ってくれたけど…
それは私も一緒です
不思議と高瀬さんといると、時間の流れがやさしくなってホッとするような…
でもドキドキするような…笑
たまにすごく動揺するようなこともありましたけど…
そして一人で勝手に疲れたり笑
いろんな感情が溢れて…楽しいんです」
「高瀬さん、こちらこそ…よろしくお願いします」
高瀬
「ゆうさん…」
ようやく高瀬のあの優しい笑みがゆうに届いた
かなり高く上がった太陽は
水飛沫に小さな虹を作った…




