表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「夕凪 」〜また、日曜日の朝に  作者: 乙花 
第3章
PR
30/34

動揺

(あの…レストランで…)


ゆう

「それはどういう意味…ですか?」


高瀬

「ゆうさん、あなたは

水野純平…

彼の妹さん…ですよね?」


ゆう

!?


高瀬

「僕は純平の同僚で

同じ部署で一緒に仕事をしていました」


心臓の鼓動がどんどん早くなる


太陽が地面を焼く音も

噴水の水が弾く音も

鳥の歌声も

子供達がはしゃぐ声も


何も…聞こえない…


真空の世界がゆうを包んだ…


高瀬

「びっくりさせて…本当にすみません

突然、こんな話……

でも今日は…

この話をあなたにしたくて…

今日でなければ…ダメな気もして…」


「その理由は…ゆうさん分かっていただけますか?…」


ゆう

「………。」


ただ…黙っていた

言葉が出てこなかった


今日は純平…

私のたった一人の兄の

命日だ…


高瀬

「話を続けてもいいですか?」


…ゆうは黙ってうなづいた


高瀬

「純平は『夕凪』で飲んでるとき

よくゆうさんの話をしていました


酔って妹自慢もよくしていて

写メをみせてもらったこともありました


明るくて優しいけど

繊細だから

すぐ考えすぎるんだって

ほんとに

よく…話していました


『俺、シスコンだからさ笑

いや、あいつに彼氏できたらどう思うかな…

彼氏に「こいつっ!」って思うけど、でも言えなくて

「ゆうをよろしく!」とか良い兄貴づらしそうでさ…』って…


どう思う?と聞かれて

お前なら、ゆうを幸せにしないと許さねえとかいって

背中叩きそうだな笑


なんて…話したりもしました」


ゆう

「お…兄ちゃん………」


声にならない声がかすかに漏れる


高瀬

「だからあなたに会ったことはなかったけど…

いや、正確には一度だけ

会っていますが…」


それは純平のお葬式の時のことを言っていることはゆうにもわかった


高瀬

「正直、その時は僕もかなり憔悴していて…

あなたに声をかけることもできませんでした

申し訳ありません…」


ゆう

「そんな…

それはわたしも…同じです

兄のために来てくださってありがとうございました」


震える声を絞り出した



高瀬はそっとゆうの手を握った


「ちゃんとお話したことはなかったけど、あいつがよくゆうさんのことを話していたので、どうしているのかと…いつも思っていました」


その手の温もりが優しすぎて

ゆうの瞳から涙が溢れ出た…




高瀬

「今まで話せなくて本当にすみません…

もっと早く話せばよかったかもしれないけど…

今になってしまいました」


ああ…そうだったんだ

だからこの前の日曜日

珍しく空けておいくださいなんて…言ったんだ


兄のことは毎日忘れたことはない

ゆうにとって優しすぎるくらい優しい兄だった

今もその日のことを思い出すと胸が苦しくなる


でもここにも同じ思いでいる人がいたんだ

こんな…近くに…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ