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欠けた月
ある暑い日の午後だった
夜にあるイベントの準備が難航し、僕とあいつはお茶を飲む暇もなく作業に追われた
あいつが企画したスウェットは
シンプルだが機能的で、丈夫な素材が売りだった
初めて、企画が形になることをあいつは心から喜んでいた
僕も、あいつの丹精込めて仕上げた企画を絶対に成功させたかった
なんとかイベントには間に合いそうだった
イベントの司会はあいつだった
僕は機材などの最終チェックを受け持った
イベントの時間が近づく
そういえば、少し前からあいつの姿を見ていない
トイレに行くと言っていたが…
まだ戻らないのか?
何やってんだ…間も無く始まるのに…
僕は気になりながらも
自分の作業でいっぱいいっぱいで
早く戻って来い…そう心の中で少しイラついてもいた
突然、バタバタと他の社員たちが通路を走り回るお互い聞こえてきた
「高瀬っっ!!はやく!!」
社員が手招きをしながら大声で呼ぶ
その声を今も僕は鮮明に覚えている
………それが
あいつと過ごした最後の1日となった
あの時…なんて何度も思っても
もうあいつとの時間は2度と戻ってはこない…




