第3章
「処分、ですか」
「当然です。まあ今回は、目撃されただけで証拠がありませんからね」
「…はい」
「謹慎処分です。一ヵ月、家にいてください」
「一ヵ月?その間、授業はどうするんですか?」
「もちろん、事情はきちんと説明して、代理を立てます」
「…分かりました」
それから、いろいろと事務的な会話を交わし、私は校長室を後にした。
一ヵ月、謹慎処分だなんて。
柿本大翔は、何の処分も受けずに済むだろうか。
できることなら、そうあってほしいのだけれど。
処分を受けるのは、私だけで十分だ。
彼にとっての一ヵ月と、私にとってのそれでは、価値がまるで違うのだから。
放課後、彼は職員室にやって来て、私を呼んだ。
誰かに事情を聞かされたのであろうと思われる何人かの職員が、私たちに訝しげな視線を投げかけてきた。
私はそれから逃げるようにして、彼を連れて職員室を出た。
「…どうしたの?」
「いや、その…ユズキ、何か言われたかなって」
「あ、うん。一ヵ月、謹慎処分だって」
「一ヵ月も?何でだよ。オレは、何も言われてねーのに」
「ほんとに?…良かった」
「よくねーよ。全然よくねぇ」
オレのせいなのに、と呟いて、彼は閉口した。
私も、彼に対してどんな言葉をかければ良いか、分からなかった。
結局、私たちはそれから会話を交わすことなく、そのまま別れた。
私は自分の席へと戻り、仕事に取り掛かる。
すると、隣の席に座っていた同僚が話しかけてきた。
聞いたよ、と言って、彼は意地悪く笑った。




