第2章
『あ、もしもし、ユズ?…今日は、ごめんな。
ほんまは、もっと話したいことあってんけど。
だから明日、もっかい会われへんかな。
明日の昼、十二時ちょうどに、あの公園で待ってるから。
まあ、ユズが嫌なんやったら、無理に来いとは言わへんけど。
とりあえず、そういうことやから。
明日の正午、あの公園な。』
ほんなら、またな。
融は最後にそう言って、電話を切っていた。
明日の正午、あの公園――学校帰りに、いつも立ち寄っていた、あの公園。
嫌なわけない。
断る理由が、行かない理由が、私には何もない。
翌日、私は待ち合わせ時刻よりも30分ほど早く、公園に到着した。
にも拘らず、融はそれより先に、そこへ来ていた。
私は慌てて、彼の元へと駆け寄る。
「ごめん、待たせちゃって」
「え?別に、謝ることちゃうやん。それに、まだ十一時半やねんで」
「でも、融はもっと早くから、ここにいたんでしょ?」
「まあそれは、俺がしたくてそうしたんやし。別に、ユズは謝ることないやろ」
「それでもさ…」
「はいはい、分かったから。とりあえず、こっち座り」
そう言いながら、融は自分の座っていたベンチの、空いたスペースをぱんぱんと叩いた。
ここに座れ、という意味で。
私は言われた通り、彼の隣に腰を下ろした。
それからしばらく、私たちの間に沈黙が落ちた。
何か話さなければとは思うものの、実際に何を話せば良いのかが分からなかった。




