表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Tender Liar  作者: 時雨
第1章
14/66

第1章

「あ、ねぇ、柚紀」

「はいっ」

「ちょっと、いい?」


放課後、部活が終わってからだった。

香月先輩は、私に声をかけてきた。

こんなことを言うと自慢みたいに聞こえるかもしれないけれど、私はどちらかと言えば、先輩には可愛がってもらっているほうだ。

それでも、こんな風に個人的に呼び出されたのは、これが初めてだった。

何が理由なのか、心当たりも全くなかった。

そのせいで変に緊張し、口の中がからからに渇いていた。


「あのさ、柚紀」

「…はい」

「柚紀って、融のこと好きだったりするの?」

「そんな、まさか。三上さんとは、ただの知り合いなので」

「そうだよね、良かった」

「え、先輩って…」

「当たり。わたし、融が好きなの」


やっぱりな、と思った。

それを聞いても、私は不思議と自然にそれを受け入れていた。

ずっと先輩を見ていて、仲が良いな、とは思っていたから。

だから、先輩の気持ちを聞いても、驚きはなかった。


香月先輩と、三上さん。

それはそれは、お似合いなカップルだと思った。

誰もが認めざるを得ないくらいに。

けれどそうなることは、きっとないのだろう。

河野先輩がいるからだ。

いくら周りの人間が認めても、三上さんの気持ちが香月先輩に向いていないのであれば、仕方がない。

というより、どうしようもない。


「わたし、何であんな奴を好きになっちゃったんだろう」

「…」

「あんな奴、初めは、大嫌いだって思ってたのに」

「えっ、どうして」

「それすら、もう分かんないの。…笑っちゃうよね」


香月先輩は、そう言って力なく笑った。

もしかしたら、彼女はもう、三上さんのことは諦めているのかもしれないな、と思った。

たとえどんなに好きな人でも、諦めなくちゃいけない。

友達のために。

そんなに悲しくて、切ないことが、他にあるだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ