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第1章
「あっ、柚紀。あの人」
翌日。
相変わらず、私の友達は三上さんを見つけると、それをいち早く私に教えてくれる。
三上さんは、私の周りではもうすっかり有名人になってしまっていた。
三上さん本人もそのことには気付いているらしく、私の友達にも気を遣って会釈をするようになっていた。
お陰で、私は毎日のように黄色い声を聞かされている。
そう。
三上さんは、女の子たちからの人気が高かったのだ。
確かに、よく見ると整った顔立ちをしている。
けれど、私が彼を好きな理由は、それではない。
もっとも、だったら何だと訊ねられても、答えられないのだけれど。
「…ね、柚紀。あれ、誰だろう?」
「え、どれ?」
「ほら、あの人。三上先輩の隣にいる、綺麗な人」
「ああ、あれはね――」
――香月彩さん。あの人は、私の先輩。
私は、得意げにそう答えた。
香月先輩は、私の大好きな先輩だった。
色白で、可愛くて、細くて、優しくて。
おまけに、いつもシャンプーのいい匂いがしていた。
誰もが憧れる、そんな存在だった。
そして彼女もまた、三上さんと同い年。
仲が良いのか、時々ではあるが一緒にいるところを何度か目にしたことがある。
その度に私は、香月先輩を羨ましいと思った。




