58/91
深度
深さが在る
痛みにも壊れることにも
繰り返しで深みに沈む
戻れる境界線の在りかは人それぞれ
くい込まれ深みに嵌まる誰かを
せめてと救済の手を差し伸べる
どうか戻れますようにと切に祈る
傲慢であまりに偉ぶりすぎている
それを自覚してもなお
戻れない場所に居て
そこを選んだからこそ
願わずにはいられない
誰も望まず気づかずに
その線を越えてしまうならば
そっと押し返せたらと
諦めることがないように
願いを棄てないようにと
僕は願う
繰り返しすぎると忘れてしまう
一番最初の姿を
線を越える前の姿を
傷は彼岸である




