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風景2
眼前に広がるのは多分「夜の」
闇であり紅の雨が降っている
そして闇の中で数本の糸が在る
道に成る程の強さもなく
切れそうで切れない
弱くて強い糸
雨に濡れて染まり雫が零れる
それを掌で受けて
僕はぺろりと舐めた
強くしなやかで
脆く切れそうなそれを
僕は選べずに落ちる雫を受け止める
選ぶことさえ疲れてしまって
道が消えて糸になった
糸すら形成されなくなったら
次はどうなるのか?
それに興味が尽きない
もっと不安定に在れたら
より安定して歪みが増せたら
次へと進めるのだろうか
そんな物騒を考えている
うっかりに動揺もなく
酷く無関心に動けそうな自身を
やや持て余している
僕は困らないけれど
周りが困ってしまうことが
よく知っているから
それが心配であり面倒臭く思う
冷たい僕が居る
道は消えたし消してしまった
糸は掴もうと思わない
寧ろ自らナイフで切ってしまう
今在るのは僕の失意から逃れた糸達
これから切られる未来をもつ糸達
誰かから守って僕の手で奪われるもの
この糸の未来はこの手の中に
影響は受けても誰にも傷つけられない存在
僕の傷であり宝そのもの




