↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された2メートル令嬢 ~魔法少年と新天地で最強領主目指します~  作者: 川合 佑樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/39

第24話

 そして奥に何やら建築物が二つ立っているのが見えた。

「まず最初はこれ! トイレかんせーい!」


 近付くと、土で固められた小屋だと分かる。

 見た目以上に重厚で、軽く叩いてみると鈍い重い音が響く。


 簡単には崩れそうにない。

 扉はなく、代わりに布の幕が垂らされていた。


「ほら、プリメイシア、開けてみて」

「そんな急かすなよ。トイレだろ?」


 幕を開けると、思いのほか光量があった。

 天井付近の壁には、空気を循環させるための穴がいくつか開けられている。


 そこから光が入ってきていた。

 中には、椅子のように一段高くなった部分があり、その中央に穴が開いていた。


 穴の縁を指で叩くと、土ではなく削り出された石のような感触がする。

 そこも土だったが、それ程までに硬く作り上げられていた。


 そして穴の底からは、激しく水が通り過ぎる音が聞こえてきた。

 脇にはバケツが一つと、布が畳まれて置かれていた。


 バスチールが得意満面で説明を始めた。

「そこの布を穴の周りに敷いて座って用を足すイメージだね。使い終わったらバケツで水を汲んで、上から流せばスッキリ! 布は毎回交換するか、一日に一回交換するかって感じかな? 穴の底は川から水を引いてきて、川に戻るようにしてるから掃除も楽ちんだよー!」


「それって、川が冠水したときは大丈夫なのか? というより土で作って崩れないのか?」


「そのときはこのトイレごと埋まっちゃうから、どうしようもないかなぁ。でも畑やお風呂とは別のラインで水を引いてきてるから、逆流しても衛生面は大丈夫! 強度と耐水性はジャルスンさんが『水程度じゃ崩れないように特に念入りに固めておく』って言ってたよ!」


「そうか……それにしても、こんな本格的なもの、よく作れたな。匂いも光も……これなら安心して使えそうだ」


「設計は私がしたけど、この速度はマルークくんのおかげだねー。私も魔法使えるようになりたいなー」


「分かっていると思うが……」

「あ、あの村の軍事転用禁止ってやつ? 話は聞いてるよ。そもそも国に仕えること自体ができないんだから、転用も何もない気はするけどねー。境界線がどこなのか、ちょっと曖昧だけど、触らぬ神にってやつ? 上手く付き合っていくくらいがちょうどよさそうだよね?」


「他言無用だ。信用を裏切るなよ」


「私が今までプリメイシアを裏切ったことあるー?」

「たまに期待は」


「ちょっとー!」



 次にバスチールが紹介したのは、川を少し上った場所にある貯水槽だった。

 川から水を引き、一時的に貯めておくための施設だ。


 拠点から多少離れた小高い位置に作られており、直径は約十メートル、深さは三メートルほどある。

 土魔法で固められた壁は非常に頑丈で、水路から緩やかに水が溜まっていく様子が見て取れた。


 そこから二本の溝が引かれており、すべてが補強されていた。

「これだけの空間に水を貯められれば、何かあっても二週間くらいは持つかなー。ここから拠点までの間にもう一個、畑用の水を貯める場所も作ってるよ」


「別の畑用か?」

「どちらかと言えば、ここが汚染された時の保険かな。これ以上川上で何か起きたら分からないけど……将来的には井戸を別で作るのもいいかもねー」


「井戸か。使う水を使用用途によって分けるのはアリだな」


「そうそう。全部一緒くたの水ってのはちょっとねー」


「将来的には、食器と農作業と食材の三つは分けて洗えるようにしておきたいな」


「了解! 洗濯する場所は別で作ってるから、それも拡張計画に入れておくね!」

「ここの人員が増える前にはやっておきたいな」


「おっけー!」



 そして少し川下に移動した先には、お風呂の施設があった。

 道中には二つの貯水槽があり、片方が深さ二メートル、もう片方が三メートルほどに設計されている。


 その奥に、それらの水を引き入れる約十メートル四方のお風呂が見えた。

 深さはそれほどなく、掃除がしやすく、何か起きた時に素早く逃げられるサイズを念頭に置いた作りになっていた。


「片方から常温の水を、もう片方を温めて水流をコントロールすればお風呂になるかなって」


「誰が温めるんだ?」

「それはおいおいねー。魔法道具が手に入れば便利なんだけどねー。村には火を使える人っていないのかなー? 当分はプリメイシアに温めてもらうとか? 今はひとまず入れるように大きく作っておいたけど、将来的には新しく作って男女で分けるのもいいかな。今は見張りもいないし、安全上幕も作ってないよ」


「そうだな。それはいずれでいいだろう」


「恥ずかしいなら今からでも男女で分けるけど?」

「ん? どういうことだ?」


「なんでもなーい」

 あとは別で、洗濯などの洗い場をトイレまでの中間地点に作ったとのことだった。


 どれも排水から水路まで、完璧に整備されていた。

 一通りの案内が終わると、プリメイシアは素直に感心した。


「バスチール、お前はすごいな」

「へへへー。プリメイシアには負けるよー」


 こうして拠点は、少しだけ村らしい姿へと変貌を遂げた。

 ……遂げすぎたかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。