第23話
プリメイシアが目を覚ますと、天井の布の色合いが橙色に染まっていることに気づいた。
どうやら夕方らしい。
外へ出た瞬間、彼女は思わず足を止めた。
「……は?」
異常な風景に、目を疑う。
まず視界に飛び込んできたのは、自分のテントの外周だった。
少し離れた位置に、しっかりとした土で作られた塀がぐるりと巡らされている。
そしてその奥、区画で言うところの「通り」にあたる地面は、石畳ではなく特に念入りに固められた土の道になっていた。
プリメイシアは呆然としながら塀の外へと歩み出た。
そこにあったのは、馬車が二台すれ違えるほどの幅広の道。
左右にまっすぐ延び、バスチールのテントを越えてさらに奥の方まで続いている。
バスチールのテントも、同じように塀で囲われていた。
「……なんだこれ」
声が聞こえて、彼女は我に返った。
畑の方角から、楽しげな話し声がする。
プリメイシアはそちらへ足を向けた。
ジャルスンの姿はもうなく、代わりにバスチールとマルークが地面に座って晩ご飯を食べていた。
「ジャルスンはもう帰ったのか?」
声をかけると、バスチールがパンを頬張ったまま顔を上げた。
「おはよー! さっきご飯食べて帰ったよー」
「そうか、挨拶くらいさせてくれればよかったのに」
食事が終わると、バスチールが立ち上がった。
「さーて、プリメイシア! せっかくだから新しくできた拠点の施設、案内しちゃうよ!」
マルークは、
「僕、先に片付けをしておきますね」
と言ってその場に残った。
バスチールはプリメイシアの腕を軽く引っ張り、拠点から数十メートルほど離れた川下の方へと歩き始めた。
その間も細かい変更点を教えてくれた。
「石畳は、そもそも石がないから断念したんだけど、ジャルスンさんが『俺の魔法で固めれば石じゃなくても似たような強度は出せる』って言い出してさ、やってくれちゃった」
「あれを一人でか……」
「マルークくんが土を掘ってから材料はいっぱいあったんだけどね。それにしても騎士団総出でも、こんなにすぐにはできないよねこんなの。魔法ってすごいなぁ」
「頼りにし過ぎるのもよくないけどな。過ぎた力は技術を衰退させる」
「だねー。これ以上してもらっても、こっちが返せるものないしねー」




