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4

現場を後にしたパトカーの中は、不思議なほど静かだった。

俺は助手席の窓を少しだけ開け、煙草に火をつける。

一口吸ったところで、隣から盛大な咳が聞こえた。


「ゲホッ……ゲホッ」


田口が顔をしかめ、運転席側の窓を勢いよく開ける。


「お前なぁ……」


煙を手で払いながら、呆れたように俺を見た。


「さっき、犯人が話してたアニメ、お前も好きなのか?」


「いいえ」


俺は煙を吐きながら答える。


「まったく興味はありません」


「なんだと?」


田口が目を丸くする。


「説得するために多くの知識を得ているだけです。興味はありません」


数秒、車内に沈黙が流れた。


「じゃあ、さっき言ってた、あれは嘘だったのか?」


「はい」

と、俺は静かにうなずく。


田口はハンドルを握ったまま、大きくため息をついた。


「…お前が本当に好きなものはなんだ?競馬、女遊び、パチンコ、好きなことでもいい」


「……」


「どうした?何か一つくらいあるだろ」


俺は少しだけ考えてから答えた。


「人の泣き顔を見ること……ですかね」


田口は俺を見た。

俺も田口を見る。


「これは嘘じゃない、本心です」


車内が静まり返る。

田口は何か言おうとして口を開き、結局何も言えずに閉じた。

信号待ちで車が止まる。

ようやく田口が口を開いた。


「人の泣き顔を見ること……。お前、その発言がどれだけ怖いか分かってるか?」


「……」


「わかってないのか…」


「……」


助手席にサイコパスが乗っているこの状況下でも、田口は平気らしい。


田口は呆れたように笑い、ハンドルを握り直した。

信号が青に変わる。

車はゆっくりと走り出した。



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