人気No1キャバ嬢を救え 3
現場のキャバクラ店に到着した。
極秘任務のため、店の周囲に警察車両や制服警察官の姿はない。
立てこもりの話を聞いたであろう、店の前には野次馬が集まっていた。
俺が車から降りると、通行人たちがざわつく。
「見て、あの人」
「すごく綺麗……」
「モデルさんかな?」
「韓国の女優じゃない?」
俺は視線を気にすることなく、田口と並んで店内へ入った。
店内には、通報したキャバクラ従業員の女性が待っていた。
顔は青ざめ、今にも泣き出しそうだ。
田口が女性の前に立つ。
「警察です…」
警察手帳を見せると、小声で事情を説明し始めた。
「これから人質を助けます。落ち着いて協力してください」
女性は何度もうなずく。
その間、俺は田口へ小さく声をかけた。
「少しトイレへ」
「ああ」
俺は店の奥へ向かった。
数分後。
トイレから戻ると、田口が壁にもたれながら待っていた。
俺の姿を見て、小さくうなずく。
「準備はいいか?」
俺は何も言わず、静かにうなずいた。
田口は深呼吸を一つする。
「……行くぞ」
俺は表情を引き締め、田口の後に続いて立てこもり犯が待つ部屋へ向かった。
田口は部屋の前で一度深呼吸をした。
コンコン。
「入れ」
低く荒々しい男の声が返ってくる。
田口がゆっくり扉を開けた。
俺も後に続いて部屋へ入る。
室内では、裏社会の人間を思わせる男がソファーに腰掛けていた。
男は片腕で、人質と思われる金髪のキャバクラ嬢の肩を強引に抱き寄せている。
女性は怯えた表情で震えていた。
田口は男に向かって営業スマイルを浮かべる。
「お待たせしました」
俺の肩に手を添え、一歩前へ押し出した。
「ご希望どおり、とても魅力的な女性をお連れしました」
男の目が俺に釘付けになる。
「……おお」
ゆっくり立ち上がる。
「こりゃ、すげぇ美人だ…」
男は金髪の女性から手を離し、そのまま俺の腕をつかんだ。
「気に入った」
その隙を見逃さず、田口が金髪の女性の手を引く。
「こっちへ」
女性は小さくうなずき、田口とともに部屋の外へ出ていった。
扉が静かに閉まる。
部屋には俺と男だけが残された。
男は俺の肩まで伸びた髪へそっと触れる。
「綺麗な髪だな」
俺は表情を変えず、静かに男を見つめ返した。
交渉は、ここから始まる。




