4話 成れの果て
男は我に返り、いきなり巨大な礫を食らいそうになった。獣の俊敏さで避けるが、鎖鎌が狭ってきて腕が裂ける。血が飛び散り、舌打ちする。
「成れの果ての退治なんて聞いてねーよ! お上は何考えてんだ?!」
鎌を避け、己の飛躍力を信頼して瓦礫の天辺に登る。周りは何かの施設だったらしく凄まじい破壊の仕方をされている。遺体が数体、倒壊したさいに圧死してしまったのか転がっていた。
「ワタシに変わる?」
「ペナルティが怖いな……」
「アンタが勝てる気がしないんだけど、アレはもう人じゃない。ワタシ案件だよ」
心配もクソもない声色で少女は冷徹に言う。成れの果ては、お互いに覚えていないが、人間が生きたまま成れの果てになってしまう事例だ。
何の成れの果てなのかも、分からないが……。
とりあえず咆哮をあげる半獣を見やる。男は懐から閃光弾機能つきの手榴弾を取り出し、ピンを抜いた。
「見捨てする、傷がひどいから」
「ちょっと〜〜」
おいおい、と少女が野次を飛ばした。が、お構い無しに鎌を武器にした元人間へ突っ込んだ。
「あぎゃああああああ!!!」
半獣と化した人間は閃光に目を焼かれ、叫ぶ――すると胸部に風穴が開き、合図だというように土埃の中から巨獣が出現した。
成れの果てより数倍大きな獣。犬の体に猿の手足、たてがみ、ネコ科の頭部。形容し難い生き物が歯牙をむき、一気に飛びかかり急所に噛みついた。
「飯がない……」
男はガックリと瓦礫に座ったまま、うなだれる。徹底的にジェノサイドされた空間には食品すら残っていない。
「はは! ワタシは商売上がったりだったね〜〜」
「クソがよ!」




