41話 擬態する悪神
ワザトは成れの果てと例のごとくドンパチやりあっていた。自我、理性をなくした眷属餓鬼と悪神の残骸――今回は割と小型の半獣である。
高火力の武器無しで、銃器でなんとかなるかもしれない。
やつは地下駐車場の一角で車をなぎ倒し、どこに隠れているかを手当たり次第に探している。2メートルあろうかと思わしき成れの果て。小型ゆえにこちらも目視しづらい。
「うがああああっ!」
やはり探り当てられ、咆哮をあげ、鉤爪を振りかざしてくる。寸で所で避けると、ワザトは銃口を右目へ焦点をあてた。
「ああなりたくはないものだな!」
トリガーを引くと、ピシリと身体……いや、全ての物が止まった。
(まさか、擬態種――)
「ギャハハハは!!」
嗤うと、獣をこちらへ喰らいつこうとしてきた。マガイのように餓鬼を食べたと周囲に公表している輩もいるが、姑息に人間のフリをしているやつがいる。
それが餓鬼に擬態する擬態種。
「ソッチがそうくるなら、ワタシも反則技を使わせてもらうよ!」
「ま、まてオカゲ! ペナルティが!」
「大丈夫、コイツのせこい異能のおかげで通信は途絶えてる。さ、ワザト、がんばろ!」
内側でニカリとイタズラな笑みを浮かべる少女を身近に感じ、頷く。
「《《ある意味ワタシたちも》》擬態種なんだ。なめてもらっちゃぁ困るよ」
「ああ、……頼むぜ」
主導権をオカゲへ明渡し、精神をドロリとした闇に溶け込ませる。怖くはない。なにせ彼女と接続するのだから。
「ぐが??」
相手の様子が変わったのを察した成れの果てが、動きを止めた。「オ、オマエは、」
成れの果てに似た何かは咆哮をあげるや、暗闇を放出する。それに触れた物質は腐食し、ドロドロに溶けた地面へ沈みだした。
先程まで余裕をこいていた半獣は自らの異能を解こうとする、周りが固定されがんじがらめになっているからだ。壁も車も――壁も。
腐敗したソレには阻まれ、ハッと眼の前を見た。転送されてきた眷属餓鬼の男が、いつの間にか目と鼻の先にいるではないか。
「あちらには黙っててやるから、大人しく殺されな!」
「ああああああ!」
巨大な銃剣が脳を突き刺した。
「……なあ、オカゲ。あちら……神獣側では人気なのか?」
「う〜〜ん。色々やらかしてきたら、人気というか……悪評高いのかも」
「ふーん」
仕事終わり。自動販売機からジュースとだすと、ワザトはガブガブと飲み干す。
「妬いてるの?」
「まさか」
「あー、妬いてるなぁ?」
「どうなったらそうなるんだよ」
のちのち詳しく書きたいです。




