32話 偽物の残酷さ
「毎回毎回、ゾンビかばったり隠蔽したり、そんなヤツらばっーかり! いやになるよ!」
マガイがレーザー銃で死体に穴を空けて愚痴を吐いた。
「……仕事だから仕方ないだろ」
親をかばう子供を問答無用で打ち抜き、駆けつけた親類をも殺害した。マガイは自分自身にはないこざっぱりとした部分がある。
羨ましいとは思えないが。
「バーン」
部屋をうろついていた両親だった感染者をレーザーで再起不能にするとケラケラ笑う。その様はまさにおもちゃを手にした子供に見える。
中身は人ではない、悪神と呼ばれる未知の生物だ。
「おい、ペナルティを食らうぞ」
「いいじゃん! 僕のしたいようにするんだから! 頭撃ち抜かれたくなければ黙ってなよ」
「知らないからな……」
(あ〜〜あ、子供を食らうからああなるんだよ)
内側でオカゲがやれやれ、と呟いた。
(あ? マガイ自身がああじゃないのかよ?)
(まあ、元からの気質はああかもしれないけど。ワタシたちは食らった人格に左右されやすいからね。ワザト、子供ってね、残酷なんだよ)
(人間は理性的なのに?)
変な話だ、とワザトは不思議になった。残酷さを持ち得るのは大人で、子供は可愛らしい。世間はそんな雰囲気が流れていた。
この崩壊しつつある世界では大人の汚らしい側面ばかりを目にしてきたのもある。
(学校に行って改造されて、立派な大人になるんだって。まあ、ワタシもよく知らない。マガイは子供だからまだ改造されてないんだよ)
(改造。俺と同じか。結局)
地球人もやることはやっているようだ。
(オカゲ、アイツを黙らせなくていいのか?)
(知らなーい。キツーいお仕置きでもくらった方がいいよ)
愉快だと笑うオカゲに、こちらも叱られるんだけど、とワザトはため息をかみ殺した。
マガイはカマセ犬感があります。
大切にしたいです(?)。




