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26話 人喰い化け物に人の気持ちは分からない

「お願いだ! まだ生存者がいる、発症していない者もいるんだ!」

 真夜中の事。ワザトは懇願する男性陣へ銃口を向けたまま、無機質な表情で引きがねをひく。



 乾いた銃声とリーダー格の男性が倒れた。


「俺の目的はお前らを処理する事」

「コイツ……か、過激派じゃないか? 他にいるのか?」

「過激派? ……ああ、居たな。そんなヤツらが」



 一応、座標ごとに時勢は変わっているが、終末から目を逸らした気狂いな思想を盲信する集団がいたのを何度か目にした。

 彼らはこぞってスカーヴァティー(安楽国)からくる使者を神の使いだと信仰していた。気がする。



「感染者を匿うのがいけないっていうのかよ?! それとも、」

「さあ、俺には関係ない」

 彼はもう一度、トリガーに指をかける。






 ジェノサイド、そんな言葉が出た。罵られたりもした。

 だがこれは仕事だ。


「ねえ、感染者はこれっぽっち?」

 少女があっけらかんとして、どこか物足りなさそうに呟く。


「こんな少人数のために山奥に引きこもっていた訳? 分かんないなぁ〜〜」

「過激派と政府から逃れたかったんだろう。あと、は……うーん、ただ単に生き残りたかったとか?」

「生き残るう?? じゃあ、感染者なんて必要なくない?」



 納屋に厳重に、閉じ込められた感染者は唸りを上げてこちらを引っ掻こうとしている。それを見てオカゲは不思議そうにしている。

 人間を理解できない側からしたら、なぜ、彼らがいるのかもわからないだろう。


「ヒィッ、殺さないでっ」

 感染者予備軍が身を寄せ合って納屋の隅にいた。


「貴方、貴方も感染しているの」

 一人の女性がワザトへ問いかけた。

「感染者の成れの果てだ。あんたらは自由になった、さあ、出ていきな」



「……た、助けて! ゾンビになるのなら殺して!」


「そうだ! 俺は人のまま死にたい! その銃で撃ってくれ!」



「……。残念ながらできないんだ」

 彼らは絶望のあまりに黙った。それを一瞥したあと、二人は納屋を後にする。




「ねえ、ワザト」

「俺はそう思ってないよ」

「うん」

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