23話 餓鬼と餌
ワザトは餓鬼に配給される餌が嫌いだった。キューブ型の何ともまずいもので、食べるとのちのち体調不良になるからだ。
「これを食べないと貴方の知能と自我は保てないんですよ」
人外がめんどくさそうに言い、無機質な部屋に配置されたテーブルへ色味の悪い餌を置いた。
「ワザトが食べないなら私が食べる〜〜」
「一人一個です。劇薬ですから」
スイがえーっと残念がった。「味変えられないの? 甘い味とか、もっとスパイスが効いた味とか」
「餓鬼が好むのは人肉です。人肉のまま劇薬をこねたものが一番人気だからこうなっているんですよ」
キツネ耳の人外ははあ、とため息を付いた。
「美食家同好会だからねー! 私たち」
「……美食家同好会?」
「お二人ともサッサと食べて下さい」
仕方がなく、ワザトは口に放り込んで人肉を食べた。こんなものを感染者たちはすき好み食べているのか?
全く美味しくない。地球で食べるものの方が数倍美味だ。
「人は美味しくない……」
「餓鬼らしくないですね。なんなら劇薬の量を増やしましょうか?」
「それでいい。人肉の味を消して欲しい」
「まっったく贅沢な……冗談ですよ。劇薬を増やしたら貴方たちは活動を停止しますからね。はあ、なんて言おう、めんどくさ」
ブツクサと文句をたれながら人外は部屋から退室していった。
「この前食べたチョコレート味、美味しかったな」
「あれはねえ、本物はもっと美味しいんだよ」
「へえ、本物もあるのか」
スイがうんうんと頷き、四角を手で作った。「四角くて茶色いんだけどね、甘くてめちゃくちゃ美味しいんだ〜〜。食べさせてあげたい」
「食べたい」
二人で和気あいあいとしていたが、やはりチョコレート味が忘れられないワザトである。
「今度はチョコレートがある座標に飛ばしてもらいたいなあ」
「食が命なんだねえ……」




