22話 非常食はチョコレート味
「スイ、後はよろしく頼んだ!」
ピストルを両手に乱射しながらも、感染者の頭部に命中させていく。
別に感染者を処理したい訳でないのは、スカーヴァティー(安楽国)の命令で承知していた。処理しているのは成れの果てによって増えてしまった、感染者だ。
咆哮をあげ、こちらに腕を振るう巨大な半獣。ワザトは避けると、スイをみやる。
大ぶりの槍を手にスイは涼しい顔をしている。この状況で冷静でいられるのは彼女くらいだ。
囮になったワザトを一瞥すると、スイは自らの悪神の力で槍を強化するや――成れの果ての心臓に突き刺した。
凄まじい力だったのだろう。破裂音がして、風穴が空いた。
「悪神を退治したよお」
「了解」
「スイはすごいな」
「まさか」
二人で施設に残された食品を食べる。非常食というらしい。周りは避難所として使われた痕跡と、血みどろで惨事があったのを物語っていた。
「今回は結構先の座標に飛ばされたね」
「そうなんだ。この味、美味いな」
「チョコレート味だよ」
「チョコレート、甘くてうまい」
サクサクとした食感の非常食。それを口に運び、彼は目を煌めかせた。
「ははは、赤ちゃんみたい」
「あっち側にはないじゃないか。たくさん食べたいのになあ」
「今度提案してみようか」
「よろしく頼む」
するとスイはまた気の抜けた笑みを作った。
21話になっていました。直しました。




