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20話 遺物
「ワザト。貴方はもう少し身なりに気を使ったほうがよいですよ」
とある天女が髪をすきながら、言う。
「餓鬼に身なりは必要ない」
「そうでしょうか。地球に紛れ込むのには変装も必要です」
その天女はワザトと対話をしたがる変わり者であった。なんでも知人とワザトが一時期、関わっていたのを知っているのだという。
「あの娘もそう言ってたしなめるでしょうし」
「あの娘」
美しい衣をまとう天女たち。そうしてホログラムで保存されたその娘の姿。
不思議とオカゲに瓜二つであった。
くったいのない笑顔は異なるが、その天女の腕にはありったけの美しい非現実的な花が抱えれている。
「あの娘は……彼に何と言ったのでしょうね」
「なぜ?」
「天女は食べられる運命にあるからです。こうなったのは初めてではないのです。天女は不老不死だと、誤認されていますから」
「……わからない。餓鬼に思考は許されていない」
「そうでしょうね」
髪を整えると、彼女は違うものをみやる視線でワザトを見た。ワザトではなく。
血肉になったその少女を見やるように。




