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18話 月夜
ワザトは月を見上げた。夜の事、仕事を終えてふと空に丸い月があったから。
「オカゲ。あっちの世界は月にあるのか? それとも海の向こうか?」
「月にも海にもないよ。あっちはあっち」
オカゲも空を見上げた。地球の星空は簡素だが、月は美しいと思っている。
「そう。人間はあっちには行けないんだな」
「月にあっても、海の向こうにあっても……あいつらが人間を歓迎すると思えないけど」
月にはウサギやカニや、読書をする女性がいるという。だがそれは人の妄言で、実際月に人は到達して確かめている。
「歓迎されたら逆になんか怖いな。下心がありそうだ」
「でしょ?」
「オカゲはこっちに居てくれる?」
「いるよ。ワザトがいるうちは」
月の下、冗談かもつかぬ言葉を吐いて二人はかすかに笑う。
「月や海の向こうに別の世界があったら、ワタシたちで破壊しようよ」
「破壊? 突拍子がないなぁ」
でも嫌じゃない。そう呟き、彼は静かに少女の言動を肯定した。




