16話 本来の餓鬼
ワザトは血みどろの仕事終わりに、砂糖菓子を食べていた。
ふいに見知らぬ少女に声をかけられ、疑問に思う。感染している様子もなく、怪我をしているわけでもない。そうして現代人が身につけている衣服よりも随分昔のものだと悟る。
「お前、人間でないな」
少女……小学生くらいの子供にしては大人びた口調で問い詰められた。
「ああ、異星から派遣された餓鬼だ」
「ふん。餓鬼なぞ名乗おって迷惑だな。我々の名を奪うでない」
「……餓鬼、なのか? アンタも」
きょとんとするしかない。眼の前にいる変哲もない少女は餓鬼だというのか。
「ああ、平安時代より∣星に現れた餓鬼じゃ。我々はどこにでもいるがどこにでもいない、それを見て人間は餓鬼と呼ぶ。お前らみたいな偽物がはびこるのはおもしろくない」
確かに餓鬼というのは地球人がつけた地球の言語だ。スカーヴァティー(安楽国)は本来、未知の言語を使う星で、ワザトたちにはサッパリ分からない。
「そう言われてもなあ……」
「改名しろとは言わん。それも人間がつけた名だからな。ただあまり人間を殺すな」
「はあ」
「人間はそこまで弱くないぞ? 我々がいてしても、滅ばなかった種族だ。見くびるなよ」
フンと鼻で嗤われ、呆気にとられていたが元祖餓鬼は草鞋を鳴らして消えていった。
「どういうこった」
「……。あれも異星人ってことだよ、ワザト」
「えっ、地球って何回も異星人が来てるのか??」
「まあ、そうなんだろうね」
オカゲが感慨深そうに背中を見つめている。あれは何だったのか。
地球の歴史に疎いワザトにはよく分からなかった。




