15話 好奇心
ワザトは餓鬼の多い特区から少し離れた、シェルターとして使用されている金持ちばかりが集められた住宅地にいた。
別にそんな説明を受けてよこされた訳ではない。餓鬼に食われそうになっていた人間から聞いただけだ。
どうやらワザトを人間だと勘違いしたらしい。だが、ワザトに頭を撃ち抜かれ死んだ。
仕事だからだ。
閑静な住宅街。
山が近い。そうして市場や繁華街から離れているために餓鬼たちはいない。
「いや、感染者か」
「感染したヤツらなんて、ゴミだと思ってるんでしょ」
「オカゲは人間が嫌いなのか?」
「半分だけ」
たまに原種とされた天女が磔にされ、刃物で無残な姿にされていた。理由は分からない。
「おー、これは立派な日本庭園」
オカゲは素直に日本庭園の、小さい版をみて喜んだ。武家屋敷のような出で立ちの建物は一際目立っていた。
「和風建築は好き。不思議な感じがするでしょ」
「不思議な? ここは日本なのに?」
「ワタシは日本生まれじゃないもん」
「ふ~ん」
相当な金持ちだったのか、餓鬼から身を守るためのシェルターとして屋根などに補強し、窓も厳重に閉められている。
「オカゲ。新宿御苑にいってみないか」
「なんで」
「オカゲが庭園を好きだから」
「優しいんだね。普通の植物園でもいいよ」
人感センサーらしく、玄関の明かりがついた。
「人感センサー、こりゃまたすごい」
「普通だよ。ワザトって知識が偏ってるよね? なんで?」
「さあ、知らねえ。脳みそに聞いてくれ」
郵便受けの中にDVDが一つ。家主が入れたのだろうか? DVDのケースに記された数字からして過ごしていた時期が夏場だったと推測する。
DVDには『家庭感染記録』。ケースにはまばらに血痕が散らばっていた。ワザトは手に取る。
家主は誰かに伝えたかったのだろか? それとも遺書代わりの悪あがきだろうか?
「なあ、見る?」
「え〜〜? おもしろいからあっちの世界のヤツらにダビングしまくって送ろうよ〜〜」
「悪いやつだなぁ」
どうするか迷う。仕事ならば粉砕して終わりだ。だが、ワザト――個人的には気になる内容だった。
「俺は見る。だからオカゲ、預かってくれないか。お願いだ」
不格好な笑いを浮かべ、彼は少女に託した。
「うっわ。マジかー」




