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14話 二人の時間
少女……オカゲは自販機の品揃えを眺め、これは高いな、これは――と遊んでいた。
仕事が終わり、喰らい尽くした後の静けさは好きだ。餓鬼たちも成れの果ても、人間もいない。
ワザトが自販機で買ったジュースを一気飲みしているのを横目に、小さな村の灯りの下お茶を指さす。
お茶。
餓鬼になった親族を隠していた老人が出してきた飲み物。
オカゲには関係のない飲み物。
「……お茶も飲んでいいのか?」
「お金ならあるよ」
「サンキュー」
嬉々として男は金をもらい、お茶を購入する。もう明日からはこの自販機は用済みになるのだろう。
「ジュース、全部飲んじゃえば」
「はあ? そんなんしたらお上に怒られるだろ」
「弱虫」
すると彼はあからさまに拗ねた。それをみて、クスクスと笑う。
二人だけの時間。二人だけの会話。――二人しか分からない会話。
「明日からはこの村、なくなっちゃうんだよ」
「別に良いだろ。それでも」
「寂しくないの?」
「いいや、だって俺には故郷なんてねえし」
「そっか」
頷いて血みどろの砂利を見る。先程、餓鬼を食った際の残りだった。
「ワタシにも故郷はないから、一緒だね」




