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12話 新鮮で楽しいよ、すっげー汚いけど

「お前が食った成れの果ては百を超えた。それでもなお、罪を償えきれん」



「おめでたい、て言うんじゃないの」

 男は軽口を叩いた。

「成れの果てにならんように気をつけるんだな。蔭」

「ありがとう」


 満面の笑みで――蔭は返した。それを前に数人の天女や浮世の人は慄く。


「ワタシがいなかったら、地球っていう世界にたどり着けなかったし、ワタシがいなかったら人間を糧にできなかったし」



「最初に天女を食った人間を知っているか」



「知ってるよ。ワザト」

 そんなの、何百回も聞かされてるじゃんか。とオカゲはぶうたれた。




 オカゲはこの身に落とされてから、記憶の欠如が著しい。悪神といえど神、とつく。そうでなければ地球でいう、人喰い化け物として暴れまわっているだろう。


「ワザトはなんだっけ、地球でいう異常性癖者? だったんだっけ? 天女を解体して食べちゃうなんて、なんだっけ。日本の伝説の八百比丘尼みたいだね。男だけど」


「でもワタシはそんなワザトが大好き。この汚い世界をグチャグチャにしてくれたワザトが」




「いい加減にしろ!」

 机を叩かれ、笑うのをやめる。眼の前にいる総統は怒りに任せたのを、恥じらい、ため息を付いた。


「反省の色がないな。まだ仕事は続行だ」

「やった。ありがとう」


「……一つきこう、オカゲ。お前はあちらの世界を見てどう思った? 綺麗だったか」

 ハハハ、とオカゲは小さく笑った。



「新鮮で楽しいよ、すっげー汚いけど」






 総統――と地球で呼べばよいか、そんな立ち位置にいる男はハァとため息をまた漏らした。



「天女が解体され、食われて、激昂した天女たちがあちらの世で自害した……それは私の責任だ。だが、ワザトなる人間はどうやってこちらの世の天女と接触できたのだろう……それが永久の謎だ」


「……天女と組んだ、なんて、すいません。無かった事にしてください」

 秘書のキツネ耳の人外が小さくいう。


「良い。自害した天女の罪は重い、早とちりが過ぎた。人間なる種に同じ苦しみを与えるなど……我々らしくない」



 天女の罪――人間の世に肉体が死ねぬという苦しみが蔓延し、細工をしたはずの餓鬼から成れの果てが生まれ、それを共食いのように餓鬼たちが処理する。


 総統の体感からして数百年以上、始まりをなくすために躍起になっている……地球でいう初期の段階を繰り返し繰り返し、いじくっている。それは一ヶ月あまり。



「我々に天罰が下ったのかもしれんな」

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