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10話 そして二人だけの世界をしようよ
蔭は《《檻》》に近い男――態に対しては、興味と物珍しさと、人間の不思議を自覚させる。
狂い、喚き散らしていく餓鬼の中で、異質さを放つ。
まるで機械だ。ただ与えられた喜怒哀楽をなぞるだけの無機質さを持ち得ていた。
人間性が欠如している。オカゲは興味を持った――最初はそうだったかもしれない。人間とは何か。
バカげた謎を知りたくなって、彼女は壁の向こうにいる生き物のサンプルを間近に観察し、対話を続けた。
ややこしいので名前をつけた。表と裏、態と蔭。
喜怒哀楽は僅からながらある。さすがに怒ったりするし、怯えたりもする――それは自身が育ててやった感情ではあるが。
人間は複雑怪奇であるべきだ。
こちら側で異端と言われた自分自身のように、複雑怪奇でなければらない。これはある種の願望なのか?
真反対の世界で、似たものを探している?
「分からない。ワタシが異端ならば、異端でない世界を作り上げるべき」
「ワタシが犯人なんだっけ」
「違うかも。もう数百年も、ずーっと前の出来事だもん」
「同じく異端がいたのかもしんないし」
言い訳を並べて、態の髪を触る。
「二人でおもしろい世界にしようよ」




