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9話 チョロいままでいてよ。ワタシが守ってあげるからさ

「態、態」


 ワザトは自分自身を呼ぶ声をきいて、わずかに意識を浮上させた。だがプログラムされた意志はそれを拒む。



「あ、そっか。大丈夫。目を覚まさなくてもワタシはここにいるでしょ」

「……ああ、蔭か」



 口を開きはしないが、たまに出現する不可思議な空間で少女を確かめる。彼女はいつもの、何を考えているのか読み取りにくい笑顔で言った。


「良かったよ、無事に戻ってこれてさあ。ワタシがいなかったら、また最初から育成をやり直すハメになってたんだから〜〜」

「不穏な言葉ばかりだな」

 少女……オカゲはふんと鼻を鳴らして、腕を組んだ。


「変な夢を見たんだ。気色悪い夢だったよ、ったくよ」

「そー。アンタが夢だと思うなら、それで良いんじゃない? 餓鬼」

「……」


 餓鬼は夢を見ない。複雑な思考をしない。命令に従う。


「怖いんだ、オカゲ。自分がなんなのか」

「無責任なヤツ」

「何がだよ」

「自分自身が分からないなら、自分で決めるの。全部他人に委ねるな、バーカ」

 いつもの口調で彼女は言う。それが今はとてもありがたい。



「まだまだアタシの言う事を聞くしか無いな〜〜?」

「……はあ、」



「ま、チョロいままでいてよ。ワタシが守ってあげるからさ」

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