64閑話 みんなで鍋をつつく
今回は、いつもと違った文章形式です。
気づけば、もう今年も終わりに近づいていた。
その日は、冷え込む夜であった。
潤一平「ふぅ…もう12月も終わりになるのか。かなり寒くなってきたな」
理人「そうですね。こう…寒くなってくると、温かいものを食べたくなりますよね」
関助「ほっほ、温かいものは、悴んだ体を解してくれるからのぅ」
ヨルル(銀狐)『そうねぇ…みんなで囲って、食べられる温かいものが欲しいわね』
千景「ふふ…みんなで囲って、食べられる温かいものと言えば……」
パン!
その時、典子が手を大きく叩く。
典子「おい!前置きは、もう良いだろ!早く食べさせておくれ!」
歌子(妖狸)『賛成!賛成!さっきから良い匂いで、私…待ちきれないポン!』
潤一平「おいおい…こう言うのは、前置きが大事………いや、もう食べようか。宵明が涎垂らしそうだ」
宵明「ゴクリ…」
福丸(猫又)『宵明、涎垂れる!垂れる!』
潤一平は、目の前にある温かいものを囲うみんなの顔を見渡して、宣言する。
潤一平「良し、始めるか!そんじゃあ、鈴木事務所年末「鍋パーティ」を始めるぞ!」
理人、千景、福丸、歌子「「『『いえ~い!!!』』」」
関助「ほっほっほ」
ヨルル『ふふ…みんなで鍋も良いわね』
典子「肉はアタシのもんだよ」
宵明「典子先生!肉は俺の物です!」
典子「はぁ?!生徒は生徒らしく、先生に譲れ!」
宵明「いやいや!それ言ったら、先生なんだから、俺に肉譲ってくださいよ!」
ヨルル『コラコラ、喧嘩しない。肉は沢山あるから。よく噛んで食べなさい』
こうして、鈴木事務所では、本日の仕事をお休みにして、鈴木事務所のメンバーと宵明たちとで、年末と来年を祝う鍋パーティが行われた。
潤一平「あっつ!豆腐が熱ぃな」
理人「椎茸、エリンギ、エノキ、しめじ…茸もたくさんですね。あ…千景、野菜もしっかり取ってください」
千景「え…や、野菜?!わ、私は別に………あ!こ、こら!りー君!勝手に私のお皿に、白菜置かないで!」
関助「長ネギとニラも、風邪に良いからおススメじゃぞ」
千景「ネギとニラも、ちょっと苦手……って、関助さんも、私のお皿に野菜置かないで!」
福丸『鱈と鮭も、うま!』
ヨルル『福丸は、相変わらず魚が大好きね』
福丸『僕は魚のために生きてるんだ!』
歌子『ヨルルさんが作った捏、美味しいポン!』
ヨルル『あら、ありがとう。歌子ちゃんが、出汁をしっかり取ってくれたからよ』
典子「くぉらぁ!!宵明!アタシの鶏肉を横取りするな!」
宵明「早い者勝ちです!」
潤一平「お前ら!俺にも、肉を残しとけよ!」
関助「年寄りには、肉は不要じゃからな。宵明はワシの分まで食べて良いぞ」
宵明「え?良いんですか、関助さん。じゃあ、遠慮なく…」
理人「はいはい。宵明君も、しっかり野菜は食べてください」
みんなで各々、鍋をつつく。
和やかなひと時。
理人「そう言えば、宵明君も来年になれば、小学生ですね」
宵明「(肉にガッツきながら)しょうでしゅね」
理人「宵明君は、何処の小学校に行くつもりですか?」
宵明「小学校ですか?えっと…『東京都立霊法小学校』ですね」
理人「『東京都立霊法小学校』…"霊小"ですか」
宵明「霊小?」
理人「東京都立霊法小学校の略名です。東京内では、名の知れた霊法使い育成学校ですね」
潤一平「おお、霊小に行くつもりなのか。あそこは確かに、これから霊法使いになる子供が通うからな。まぁ…俺の生徒になら、相応しいか」
典子「霊小…アタシと潤の母校だな」
宵明「え?!そうなんですか?!」
千景「何、その話初耳!詳しく聞かせて!」
潤一平「詳しくも何も、普通に小学校生活送ってただけだ」
ヨルル『あらあら…そんなこと言って。潤は小学生の時から、餓鬼大将だったじゃない』
理人「ヨルルさんは、潤さんの子供の頃を知っているんですか?」
ヨルル『ふふ…潤と典子、あと私は、昔から長い付き合いがあるからね』
歌子『典子の小学校生活、気になるポン!』
ヨルル『典子は確か…不思議ちゃんだったかしら』
歌子『不思議ちゃん?』
ヨルル『潤以外、誰も寄ろうとしないの。雰囲気が暗すぎて』
潤一平「小学生の時の典子は、とにかく根暗だったからな。今もだけどな」
典子「はぁ?!アタシの近くにいると、悪霊に取り憑かれるとかなんとかで、みんな近寄らねぇだけだ」
潤一平「だから、コイツの渾名は悪霊姫だったんだよ」
歌子『ぶっ…あ、悪霊姫』
典子「笑うな!」
歌子『ぎゃ?!尻尾引っ張らないで!』
盛り上がる鍋パーティ。
気づけば、鍋は全て平らげられる。
潤一平「ふぅ…食った。食った」
典子「こう…腹が一杯だと、酒が飲みたくなっちまうな。あ…そうだ、宵明。ちょっくらコンビニで酒を買ってきてくれ」
宵明「え、あ…お酒ですか?」
歌子『ちょ、ちょっと?!典子、何言ってるの?!宵明は、まだ子供よ!子供はお酒を買えないポン!』
千景「そうだよ!潤ちゃん!自分で買って来なさい!」
潤一平「俺は満腹で動けねぇ」
典子「アタシも満腹で動けねぇ」
ピューーーウ………ドン!ドン!ドン!
福丸『ん……なんだろう、この音?』
関助「花火じゃな。そう言えば、この近くの川辺で、夜に花火が上がると聞いておったな」
千景「え?花火!どこどこ?!」
理人「あれじゃないですか?お…今、でっかい花火が上がりましたね」
千景「本当だ!綺麗!」
宵明「たーまやー!!」
福丸『あ!魚の花火ニャ!』
寒い冬には、温かい鍋が美味い。
しかし、それ以上にみんなで食べるからこそ、美味しいのだ。




