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『十二の式神使い』 〜殺された御三家陰陽師の俺は、過去へと戻り、破滅未来を回避するために、現代最凶の式神使いになる〜  作者: 星衛門
第二章 秋に咲く白い桜

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020未来で俺を殺す人




 俺は女の子を小走りで追いかける。

 確か、こっちの方向に行ったはず。


 探そうとするが、この人だかりに、俺と同い年ぐらいの女の子は、そこら中にいる。

 不味い見失ったかもしれない。


 何がそんなに俺を掻き立てるのか分からず、血眼になって探す。

 何故か分からないが、俺はあの子を知っているのだ。


 そして、見つけ出す。

 祖父と思われる老人と手を繋いだ女の子。


 俺は小走りから、駆けだす。


 そして、女の子の肩に手を置く。


 「あ、あの!」


 俺の呼びかけに、女の子はゆっくり振り返る。


 女の子の視線が俺に向く。

 その青い眼に鏡として、俺の姿が映る。


 「………」


 女の子は無言で俺を見ていた。

 無表情で、一言も喋ろうともしない。


 女の子の見た目は、俺と同じぐらいの背丈。

 白いワンピースを着ていた。


 肩より長い艶のある黒い髪。

 青空のような蒼い瞳。


 特徴的なのは、女の子の黒髪の中で、頭の上にある数本の髪だけ白い。

 数本の白い髪の毛が一本の束になっていた。


 女の子の無表情と相まって、全体的に冷徹な雰囲気を受ける。


 「あ…その……えっと…」


 どうしよう。

 感情のままに追いかけて、話しかけてみたけど、何を話せばいいのか分からない。


 俺が、しどろもどろになっていると、


 「おや…誰かの?」


 女の子と一緒に手を繋いでいた老人が俺を見て、首を傾げる。


 穏やかな目に、長い白髭を垂らした姿は好々爺と言った感じ。

 白髭には、薄桜色が滲んでいた。


 女の子の冷たい雰囲気と違い、こっちは優しそうな雰囲気である。


 「ナギ?お友達なのか?」

 「知らない」


 透き通った声と裏腹に、冷たい言葉。

 老人の問いに、ナギと言われた女の子は即座に、知らないと答える。


 老人は姿勢を低くして、ニッコリと尋ねる。


 「君はナギの…幼稚園のお友達かい?」

 「え、えっと…」


 老人に問われ、俺は逡巡した末、


 「ひ、人違いです!」


 そう言うしかなかった。

 女の子を追って、話しかけてみたけど、何かが変わった訳ではなかった。


 「では、迷子かの。親と何処かで逸れたかもしれん」


 老人は自身の髭を撫でる。

 俺を迷子と勘違いしているみたいだ。


 「あ、あの!」

 「む?」

 「お名前って、何ですか?」


 急に俺が名前を聞くので、老人は目を見開く。


 自分でも、何で名前を聞いたか理解できない。

 けど、名前を聞かなきゃいけないような気がするのだ。


 「名前?ワシの名前か?ワシは神木じゃ。神木春桜(しんぼくはるお)じゃ」

 「神…木?」


 神木…別に珍しくない苗字。

 でも、何か引っ掛かる。


 この春桜という老人は知らない。

 でも、俺は神木という苗字に覚えがある。


 きっと、神木という苗字がついた誰かを、俺は知っている。


 神木…神木……神木………。


 ………あ!

 一つ思い出す。


 俺の知っている人の中で、神木がつく人。

 でも、それは今の二回目の人生ではなく、俺の一回目の人生で知った人だ。


 18歳の誕生日に、直接会った人。


 その人の名は。

 "彼女"の名は。


 「ああ、そうそう。この子は、儂の孫娘の神木…」

 「神木凪桜(なぎさ)


 俺は老人…春桜の言葉を遮って、1人の女の子の名前を口にする。


 それを聞いて、春桜は意外な顔をする。


 「なんじゃ、やっぱりナギのお友達じゃったか」

 「この人、知らない」

 「じゃが、ナギの名前を知っておったぞ」


 再び口を開き、冷たく言葉を発する女の子…凪桜。

 俺と孫娘の凪桜の顔を交互に見て、困った顔をする春桜。


 一方の俺は、内心穏やかではない。


 「はぁ…はぁ…」


 はっきり言って、恐怖で満たされている。


 息が荒れている。

 冷や汗と心臓の激しい鼓動が止まらない。


 何故かって?

 目の前の女の子、神木凪桜は……一回目の人生にて。


 ……………………………俺を()()()からだ。


 俺が二回目の人生を歩む転換点になった18歳の誕生日の日。

 あの日に殺され、俺は気づけば、二回目の人生を生きていた。


 俺は一回目の人生で18歳の誕生日に、雷を纏い、長い白髪を携えた少女…神木凪桜に心臓を刀で貫かれ、死んだのだ。


 つまり、二回目の人生において、今の神木は凪桜は、未来で俺を殺す人なのだ。




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