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転生召喚『黒龍』記  作者: 緑楊 彰浩
短編~黒龍編~
39/95

短編04 前国王と前王妃と元補佐




※短編は本編を読んでから読むことをお勧めします。

ネタバレや、次の話へ関係ある内容のものもあります。











 クロイズ王国へ来て数日。アレースに言われて、アルトに連れられて久しぶりに来たこの国は、ヴェルリオ王国で何かがあればすぐに駆けつけることのできる状況だった。この国の国王であるウェイバーとアレースが未だに仲がいいことは知っていたが、すぐに駆けつけることができるほどに準備をしているとは思わなかった。ルイットへアレースがエリス達と一緒に出掛けた日があったが、もしかするとその日にウェイバーに会っていたのかもしれない。だから、ウェイバーたちが馬に乗りヴェルリオ王国へ向かったときは、何かがあったのだろうと思った。

 彼らが駆けつけたお陰で、国が壊滅するようなことは起こらなかった。正直言って感謝だけでは足りない。他にお礼をしたいと思ったのだが、国王であるウェイバーは気持ち以外は受け取らないと言っていたので、しつこいと言われるのではないかと思うほどお礼を言った。そのあとはこの国を堪能していた。

 そして、堪能したのでそろそろ他の国に行ってみようと言う話になった。数年前まで国王をしていたので、新婚旅行に行くこともできなかった。新しく国王となったアレースが、1人でも国王としてやっていけるようになったら新婚旅行に行こうとは思っていた。今回の件で任せられるだろうと判断して、戻らずに様々な国を回ってみることにした。現在アレースは怪我をしているようだが、エリスやその使い魔である彼らがいるのだから無茶をしようとしたら止めるだろう。

 今回はアレースやウェイバーが鎮めたわけではないのだが、彼らがいるのならアレースが困った時に助けてくれるだろうとも思う。だから、安心して新婚旅行に行けるのだ。

「それじゃあ、行こうか」

「そうですね」

 そう話して西方向へ向かおうとしたとき、声をかけられた。それは、久しぶりに聞く声だった。それでも、声の主のことは覚えているものだと思いながら振り返った。20年ぶりくらいだろうか。彼は全く変わっていなかった。それもそのはずだろう。彼は人間ではないのだから。

 ヴェルリオ王国では未だに珍しいハーフエルフ。もしかすると、エルフよりも珍しい存在かもしれない。

 彼は母親がエルフで、父親が人間。父親はすでにおらず、母親はエルフの森へと戻っている。

「エイド! 久しぶりだな」

「あらあら、エードじゃない。変わらず若いわね」

「お久しぶりです。まさかここで会えるとは思ってもいませんでした」

 彼の名前はエード・パカル・ワジマ―。20年前までは、ヴェルリオ王国国王の補佐をしていたハーフエルフだ。父の死と、母が生まれ故郷に戻るのを機に他の国を見て回りたく旅へ出るために補佐を辞めたのだ。

 そんな彼とここで再開するとは夢にも思わない。同じくエードも思っていなかっただろう。

「ヴェルリオ王国に戻ろうと思っていたんですが、いろいろ大変だったようで戻ることができませんでした」

「巻き込まれたら大変だものね。私達はこれから新婚旅行に行くの」

「新婚旅行……ですか」

「今の国王はアレースだからな。私達はこれを機に行けなかった新婚旅行に行くことにしたんだよ」

 エードにとってアレースはまだ幼い子供のままだ。それなのに彼が今では国王となっている。噂話では聞いていたが、ここにいる人物を見て本当に国王を交代したのだとわかる。

「これからどこに?」

「ヴェルリオ王国に戻ろうと思っています。国王……ゼウス様とテミス様はどちらまで?」

「決めてはいないよ。気が済むまで新婚旅行さ」

 楽しみなのか微笑んで言うゼウス。今まで私用で出かけることはできなかったので、数十年ぶりに自分勝手に出かけれるため、これからが楽しみなのだろう。もしかすると、国王になる前にもそういうことをしていない可能性もある。それは、本人しか知らないが。

「それで、エードは戻ったらどうするの?」

「何か、仕事を探そうと思います」

「ふむ。それでは、アレースの補佐なんかはどうだ? きっと、これから大変だろうが……エイド、君ならアレースの手助けができるだろう」

 その提案にエードは頷いた。ヴェルリオ王国に戻っても今のエードに仕事はない。それならば、10年間していた慣れた仕事である補佐をできるのはエード自身喜ばしいことだった。新しい仕事を一から始めるよりも、慣れていることを生かせる。しかも一度は経験している補佐の仕事ができることに断る理由はない。

 頷いたエードを見たゼウスも一度頷くと、懐から一枚の紙と茶封筒、そして一本のペンを取り出した。近くの建物の壁を机替わりに使い、紙に文字を書いて行く。最後にゼウス自身のサインを書いて、紙を四つ折りにすると封筒に入れてエードに渡す。

「これをアレースに渡せば、補佐として仕事をできるように書いておいた。もしアレースに渡せなくても、城の関係者に渡せば大丈夫だ」

「わかりました」

 その言葉にエードは封筒をポケットに仕舞った。これを渡すことによって、すぐは無理かもしれないが仕事をすることができるかもしれないのだ。

 礼を言うと、ゼウスとテミスは手を振りそのまま西へと向かって歩き出した。エードは無言で見送る。2人の姿が見えなくなると、エードもヴェルリオ王国へ向かって歩き出す。今ヴェルリオ王国へ行くことができるのかはわからないが、それでも向かう。

 もしも、入国することができなければ戻って宿を探せばいいと考えて歩く。少々騒がしいクロイズ王国だったが、エードは気にすることはなかった。騒がしいのは仕方ないのだ。隣の国で戦いがあったのだから。エードがヴェルリオ王国へ行ったら、街はどのようになっているのか、仕事はどのくらいあるのかそう考えて歩みを進める。

 彼がヴェルリオ王国にいた頃からそれなりにたってるのだ。街並みもかなり変わっているだろう。それが、エードは楽しみでもあった。街で戦いがあったばかりのため、多くの建物が崩れてもいるのだろうと思いながら、ヴェルリオ王国へと向かう。








短編04 前国王と前王妃と元補佐 終









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ゼウス・リュミエール(ゼウス:ギリシア神話の神)(リュミエール:光(フランス語))

アレースとエリスの父であり、前国王。


テミス・リュミエール(テミス:ギリシア神話の神)(リュミエール:光(フランス語))

アレースとエリスの母であり、前王妃。

現王妃はアレースが未婚のためいません。


エード・パカル・ワジマ―(エード(エイド):助力者、補佐、助手、助力(英語))(マジカルパワー:魔力(英語))

本編に勝手に出てきて、勝手に補佐してましたと言い出したので緊急でこの話に絡ませなければいけなくなりました。

ハーフエルフ。見た目若いけど、50歳。

因みにエイドはあだ名です。基本ゼウスが呼んでます。誤字ではありません。

本編に出るため、詳しくは今度です。

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