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7 : 7 歳と講習会の始まり

読んでいただきありがとうございます!

毎日更新を目指したいところですが、ぼちぼち書いていきます。

楽しんでいただけると幸いです。

評価の方もよろしくお願いいたします。

七歳になった。


あれから一年、毎朝のランニングと、

前世で聞きかじった HIT トレーニング(高負荷短時間のトレーニング)を続けた。


さすがは七歳の体。

そして、科学的なトレーニング。


僕の身体能力はそれなりに向上した。

それなり、というのは速さを測ることもできなければ、

誰かと競争することもないからだ。


ただ、明らかに前世の運動音痴な走りと比べて、

うんと風を切る感覚があった。


息を切らしながらも快感を覚えると、

どうしてランニングが趣味の人がいたのか納得がいく。


昨日が誕生日で、安息日を挟んでの初日。

僕は商会の手伝いではなく、冒険者ギルドへと足を運んでいた。


何度か下町に近いところにある商会へのおつかいで近くを通ったこともあり、

迷うことはなかった。


冒険者と言えば粗野粗暴な荒くれもののイメージがある。

まぁ、大きくは間違っていない。


なにせ、盗賊(ヒト)か魔獣(バケモノ)かは場合によるが、

荒事がメインな職業で、

さらには家を持たない(根無し草)者の集まりなのだから。


しかし、王都に滞在している冒険者に関しては少し違う。


ここ王都は平野部が切り開かれてできた都市だ。

周りは草原やら森林やらがあり、その奥には連峰が高々とそびえたっている。


自然の要塞として機能するそれらは、

なればこそ、あえて開拓されずに放置されている。


ときおり、冒険者に王都近くの森や平原に出る魔獣の討伐にお声がかかるが、

基本的には誰も近寄らない。


ある種の辺境の地に鎮座する王都で出される目ぼしい依頼は、

他はもう護衛依頼くらいしか残っていない。


つまり、やんごとなき身分の相手に対して商売をすることになったりする。


また、王都から他の都市へのアクセスもそこまでよくはない。

連峰を迂回する形でえっちらおっちら浅い森を進む必要があるため、

野盗やら、はぐれ魔獣やらの危険の中生き延びねばならない。


そんな中、王都に滞在し、仕事にありつける冒険者は、

傭兵的側面を強く持ったサバイバーだ。


そして、王都で行われる講習会も、

森での安全な眠り方や、不用意に音を立てない自然の中での歩き方などのサバイバル(生き残るための)技術がメイン。

ついで、簡単な剣の振り方と、そして逃げ方。


龍を倒すには物足りないけれど、

僕とは違って他の人は死んだら確実に終わってしまうから、

生き残ることに重きを置くのは仕方がない。


ギルドの木扉を開けると、

中は講習会を受けようとする面々で賑わっていた。


若者に絡む厄介な飲んだくれや、

美女に集まる性欲の権化などのテンプレは今のところ見当たらない。


むしろ、大学のサークルにおける初心者歓迎会のようなムードが漂っていた。


その顔の中に一人見知った子を見つけた。


ミツミ商会の長女、ネリだ。

明るい茶色の髪をストレートに流し、冷ややかで切れ長の目をしながら、

周りへと絶えず視線を振っていた。


何度目かのミツミ商会へのおつかいの際、

店番に立っていた彼女と知り合った。


互いに場違いな幼子、ネリは僕の一個上で今は八歳、なため、

相手に対して興味を持ったのが喋るようになったきっかけだ。


それ以降も商会に顔を出すたびに、ネリとは軽い世間話をする。


「ネリも来たんだ」


そう僕が聞くと、ネリは頷いた。


「まぁ、バンが行くって言ってたから」


どこかお姉さん風を吹かせがちな少女は、しかし周りの冒険者や他の面々に目が彷徨(さまよ)っている。


「来てみたかったの?」


「気になってないと言えばウソになるわね」


それもそうか。


何せ、店に来る人来る人、冒険者ばかりなのだ。

話をまた聞きするのも繰り返していれば、興味や親しみを持って当然だろう。


「バンは何をするか知ってるかしら?」


「軽くは」


「さっき、ギルドの人に聞いたのだけれど、今日は森の散策らしいわ。初めての人は申し出るようにってことだから、バンも言った方がいいわ」


手を引かれて、受付をしている妙齢の女性の前へと立った。


「あら、さらに小さい子が来たのね」


鷹揚(おうよう)に笑う受付嬢は名前と年齢を聞いてくる。


ラーロン商会の末子バン・ラーロンと答え、七歳になったばかりだと告げる。


「商会の息子が、まぁ、珍しいわね」


しかし、それ以上の追求はなかった。


「二人とも、大丈夫だとは思うけれど、気を付けていくんだよ。

何かあったら、すぐに逃げなさいな」


実感の籠(こも)った声で受付嬢が言うと、

ネリが胸を張って答える。


「大丈夫よ、バンは私が守るわ」


ネリが鍛えているとは聞いたこともないけれど、

でも精神年齢で言ったら僕の方が年上だ。


それにいざとなれば、僕が身代わりになればいいという考えもあった。

そんな思いを腹の内に隠して、僕は頭を下げた。


「ありがとうございます。気を付けます」

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