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54 : vs 龍 【残り三話】

読んでいただきありがとうございます!

毎日更新を目指したいところですが、ぼちぼち書いていきます。

楽しんでいただけると幸いです。

初めまして、龍(ドラゴン)。


僕がこの世界に呼ばれた理由であり、僕たち仮面舞踏会(マスカレード)が作られた目的。


僕たちは仮面を外して、龍と対峙した。


向こうも僕たちを敵と認識してくれたのか、目が交差した瞬間に空から炎をまとった岩石を降り注がせてきた。


僕は恐怖以上に高ぶっていた。


そして、それ以上に、落ち着けていた。


「散会!」


ニリアの合図で僕とグラモロス、ネリとニリアの二手に分かれて、龍へと迫る。


僕たちは右サイドから、ネリ達は左サイドから。


さっきまでいた場所は轟音とともに粉砕され、山の稜線は今の一瞬で書き換わる。


もし最初に出会っていたら、でたらめもいいところだと乾いた笑いをこぼしていたところだろう。


でも、この程度なら、もう驚かない。


ニリアが合図となる光の魔法を放った。

色は赤。


かまわず攻めろ、だ。


僕は龍のわき腹へと水光線を何本も放つ。


中に浮いた煌めく水球から、とめどなくサファイアの光線が龍を襲った。


キンキンと耳をつんざくような硬い音が響く。


しかし、パッと見でもわかる。


傷らしきものはなかった。


これはまぁ、ネリの龍化で試していたから想定内だ。


僕がすべきは陽動。


龍の注意が自分に向いていることを意識しながら、水光線の魔法は止めない。


龍は丸太よりも太い手を目にもとまらぬ速さで振り下ろした。


発生したのは風刃の魔法だろうか。


でも、ブルー・ホーンを一刀両断できそうなくらいに大きい。


僕はグラモロスに突進する。

今度は山の稜線に大きな切れ込みができる。


それでも、僕たちは無事だ。


大丈夫。

少なくとも足切りはされないで済みそうだ。


ブルー・ホーンのドロップ品や、階層主を倒して得た武具類によって、僕の速度は夜闇にまぎれれば残像しか残さないほどに早くなっている。


ネリのように敵の攻撃を受け止めるなんて芸当はできないけれど、それでも誰かをよけさせるのは十分にできることがわかった。


反対側ではニリアが風刃の魔法を龍へと放っているところだった。


こっちも負けてられない。


龍は一体。

こっちは四人。


数の利で押すためには全員に対して龍に脅威を感じてもらわないといけない。


「バン」


小さくグラモロスが呼びかけてくる。


僕は頷き、すぐさま龍へと一人で突進する。


これはグラモロスと二人で決めていた作戦だった。


もともとのニリアの作戦は両面作成。

つまり、互いのチームが龍を挟む形になるように陣取り、双方向から攻撃を加える。


互いが互いの隙を作る。


他にも作戦はあるけれど、基本は数の利。


チーム決めが終わった後、僕とグラモロスは二人で話し合った。


速度重視の僕と、パワー重視のグラモロスだと互いのいいところが消える可能性がある、と。

それでも、ニリアが僕とグラモロスを組んだのは、グラモロスを逃がす役割に僕が徹することで、僕が死を繰り返すことを防ぐためだろう。


しかし、それなら、僕が龍の注意を一身に買ってしまえば同じこと。

つまり、龍の至近距離でのかく乱だ。


小刻みにステップを踏み、いつでも避けられる状態を作りながら、僕は着実に龍へと迫る。


龍との距離は僕が一だとすれば、グラモロスが三、ネリとニリアが揃って六くらい。


龍は誰に目を向けるか。


結果は・・・僕だった。


さすがに近接する敵を見逃したりはしないらしかった。


でも、それならそれで好都合。


近接しても見向きもされなかった場合も考えていたけれど、その必要はなくなった。


水光線の弾幕を張りながら、僕は龍の尻尾へと回る。


龍は後ろに目がついているのか、横凪一閃、しっぽを一瞬のうちに振りぬいた。


咄嗟に飛んで避けた僕の靴の先端がかすって、僕は吹き飛ばされた。


もし、中心部がへこんだ形じゃなかったら、そのまま山を転げ落ちていたかもしれない。


少し当たるだけで、こうとは。


もう僕もグラモロスもちゃんと当たったら終わりだろう。


耐えられるのはネリくらいか。


そんな二人はさっきよりも龍へと近づいている。


グラモロスは僕が吹き飛ばされたことで、一度距離を取り、煙幕を放っていた。


これは、四人で決めたルールだった。


盾役の僕とネリから、グラモロスとニリアが離れた場合、グラモロスとニリアは煙玉で自分の姿を隠すこと。


気休めかもしれない。

黒のウロコヘビのような熱感知をしてくる可能性はあったし、ブルー・ホーンのような魔力を探知代わりに使う可能性だってある。


でも、少なくとも相手の視界からは外れられる。


そして、足を止めずに盾役のところまで逃げること。

もし、盾役がダウンしていたら、龍の注意次第でとる行動は分岐する。


今回は僕は気を失ってないので、グラモロスは僕を目指して逃げるはずだ。

僕はなるべく進行が無駄にならないようにいち早くグラモロスの元に駆け付ける。


煙玉から出るグラモロスと交差するようにして、僕は戻ることができた。


回転するようにグラモロスの手を握って方向を龍へと向ける。


そして、また、僕は遊撃手として、一人で龍へと突貫する。


龍の意識はさっきまでで一番近づいたネリの方を向いており、ネリは攻撃を耐えようと身構えている。

後ろで、ニリアが魔力を練り上げていた。


これならチャンスかもしれない。

そこそこに練り上げた水光線の魔法で無防備になっている関節部分を狙いを定める。


龍の鱗が硬いのはわかっている。

なら、龍の皮はどうだろうか。


これくらいの魔力を込めればネリの龍鱗に関しては切り傷くらいはつけられるのだけれど。


龍はまったく僕の方を見向きもしなかった。

そして、傷も怪我も見えない。


龍が二人を見る様は敵対以上に観察しているようにすら思う。


その証拠に、まだ二人へは攻撃をしかけてはいない。

ニリアの魔力が高まりに高まって、槌(つち)の魔法が権限する。


二十五階層の階層主が使っていた魔法だ。

槌とはいいながらも、風系統の魔法で、圧倒的な風圧によって爆発したようなダメージを相手に与えるものだ。


しかも風だから無色透明で気づけない。

僕はそれで一回死んでいる。


そんな槌の魔法は龍を少しだけよろめかせた。

例えるなら、強風にあおられて前のめりになるような形で。


つまりは、ほとんどダメージは与えられていない。

動かすだけでこの労力。


龍は何を思ったのか、口の端を持ち上げて笑った。

それは、醜悪というよりも純粋さを感じられるもので、邪気がない。


一瞬だけ、毒気を抜かれる。


でも、笑みの意味がなんであれ、龍の呪いは龍を倒さなければ消えることはない。


ニリアは次の魔法を準備している。


僕はミスリルの剣を抜き去り、鱗へと刃を立ててみる。

でも、何の感触もない。

はじかれた剣を戻そうと力を込めたとき、龍の近くまでグラモロスが迫ってきていた。


鱗を貫通する攻撃は僕では現実的ではないらしい。

でも、グラモロスなら。


グラモロスの手には二十七階層の階層主が落とした大剣が握られている。


僕は龍から飛び降りながら様子を見守る。

着地するまでの数舜、もし、グラモロスが攻撃を受けそうなら迷いなく身代わりに入らなければならないからだ。


グラモロスの攻撃は鱗へと阻まれた。

でも、明確に鱗に傷がついている。


龍は煩わしそうにうめいて、再度手を振り下ろした。


まだ大剣を振り切ったばかりで避ける姿勢が作れていないグラモロスを僕はタックルで突き飛ばし、代わりに切り裂かれる。


さすがに一度も死なないで勝てるなんて思っていない。

でも、まさか一分足らずで死ぬコトになるとは。

本話を含めてあと三話で完結です!

今日中に三本、投稿する予定ですので最後までお楽しみください。

少しでも面白いと感じましたら下の☆から評価を頂けると幸いです。

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