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49 : ブルー・ホーン - その弐

読んでいただきありがとうございます!

毎日更新を目指したいところですが、ぼちぼち書いていきます。

楽しんでいただけると幸いです。

評価の方もよろしくお願いいたします。

スクリーンを眺めながら、考える。


なぜ、背後に回ったにも関わらず、ブルー・ホーンは迷わず僕を攻撃できたのか。


寸分の狂いもなかった。


間違いなく直撃。


しかも、乱発して一本がたまたまじゃない。


複数本が全部、僕へと当たった。


何か、目や鼻以外に感知する方法がないと説明がつかない。


生き返った直後、一瞬だけ周囲を見渡す。


けれど、異変は見つけられなかった。


てっきり、水球を経由して鏡のように把握しているのかとも思ったけど、そうじゃないらしい。


ブルー・ホーンは珍しい魔獣だ。


地上でなら、まずお目にかかれない。


海底洞窟に住まい、そこに生えた苔を食べて生きるということくらいしか伝えられてない。


そのせいで、本当に苔しか食べないのかすらもわからない。


つまり、まだまだ生態はわかっていないのだ。


しかも、さらにそのうえで特異個体。


僕が想像もつかない方法だって、あってもおかしくない。


やっていることで近いのはニリアの探知魔法だ。


あれは、ニリアによれば産毛を伸ばしているような感覚らしく、獣魔法の一つだ。


だから、他の魔獣が使えてもおかしくはない。


ただ、二リアの魔法を隣で受けていたからこそわかる。


あれは、近くにいれば少なくとも探知されたことには気づけるのだ。


自分以外の魔力が体をあたる感覚は、それこそ薄いティッシュで肌を撫でられるように感じる。


でも、近しいことをブルー・ホーンはしていないとおかしい。


確かめるには、また背後に回ってみるしかない。


さっきは攻撃ばかりに気を取られていたけど、今回はちゃんと本体を見よう。


水光線の魔法を避けながら、一定の間合いに入ったところでまた煌めく水球を空中に浮かべてきた。


飛び上がったことはブルー・ホーンもわかっているだろうから、今回は対策を立ててくるかもしれない。


だからこそ、僕も次は魔法を使う。


蜘蛛糸の魔法だ。


この二年間もそればかりを使っているせいでだいぶん練度があがっていた。

今では、ゴブリンやオーク程度なら、もう抜け出すことすらできない強度・粘度のものを放てる。


さすがにブルー・ホーンの巨体を絡めとることはできない。

今回は、浮かべられた水球に対して、水光線が放たれる前に先に蜘蛛糸の魔法をそれにぶつける。


魔力で形成している水球なら、僕の魔力の籠ったものは抵抗になってもおかしくない。


もはや、手をかざして方向を定める必要もなくなった、蜘蛛糸の魔法を水球へとぶつけた。


なるべく強度が上がることを念頭に練った特製品。


結果は、ビンゴ。


水球はその場で瓦解する。


ただ、すぐに水球は作られた。


僕もニリアみたいな探知魔法が使えれば、水球が出てくるたびに壊すことができるけど、

でも、できないタラればは意味がない。


とりあえず、突っ込む範囲で見えるものだけに対して魔法を放ち、

そして、衝突の瞬間、また飛び上がった。


今度はブルー・ホーンも直前で避けられることを想定していたのか、避けた僕を目掛けて水光線が飛んでくる。


僕が僕の上からブルー・ホーンに向けて蜘蛛糸の魔法を放った。

今度は、速度と重量を意識して、だ。


自身の魔法によって、いっきにブルー・ホーンの背中に叩きつけられた僕は、水光線の魔法をギリギリで避けれた。


時間維持にほとんど魔力を使ってなかった蜘蛛糸はすぐに消え去る。


さぁ、ブルー・ホーンはどうでるか。


僕に向けて、水光線を放てば自身の体を穿つことになる。


ブルー・ホーンは初めて迷いを見せた。


すぐには動かず、その場でじっと固まった。


僕が体を傷つけられないと高をくくっての行動だ。


試しに剣を突き立てようとしたとき、ブルー・ホーンがロデオのような感覚で飛び跳ねながら僕を落とそうとしてきた。


僕は咄嗟に自分の体を、ブルー・ホーンの背中に密着させ、さらに蜘蛛糸の魔法で貼り付ける。


ぐわんぐわん揺れる視界は遊園地の絶叫マシンのようにも感じた。


でも、攻撃はされてない。


僕が落ちないことがわかると、ブルー・ホーンは動きを止めて水球を浮かべ始めた。


しかし、その水球は光輝いていない。


水光線の魔法じゃないのか。


でも、大きさはそれこそ人ひとりを十分包めるくらいのものだ。


それが何個も浮かんでいる。


直感だったけれど、あれに捕まってはまずい気がした。


蜘蛛糸の魔法を放つが、水球の形が崩れるよりも前にその部分の水だけ切り離されて、水球は維持される。


一度、背中から降りよう。


そう足に力を込めたとき、微かだけれど、臭いがした。


アンモニアのような、言ってしまえば尿の臭い。


どこから、というよりも、どうしてこの場所で、だ。


迷宮は排泄物も一定期間で消える。


だから、ここは糞尿の臭いはしない。


たまに、休憩所付近で前の冒険者がしたものが残ってることはあるけど、それも本当に稀だ。


なら、臭いの発生源はコイツしかない。


ブルー・ホーンの下。


そこはまだ確認していない。


僕は壁へと飛び、壁を蹴って、地面へと急接近した。


そのまま転がり、ブルー・ホーンの下へと入る。


巨体に隠れて暗くて見えないので魔法で光を浮かべると、モワモワとうっすら蒸気が立ち上っていた。


目を凝らせば、小さな穴みたいなのが開いていて、そこから蒸気が漏れている。


迷宮が薄暗いこと。


対して、水光線や、ブルー・ホーン自体がほんのりと光を持っていたせいで気づかなかった。


もし、この蒸気が魔法で操られているとするのなら。


それが周囲に充満していたとしたら、僕が生き返ったときに座標を知っていたのも、背中に回った僕を的確に打ち抜けたのも説明がつく。


でも、ボーっと見ている暇なんてない。


とりあえずと、僕は着火の魔法を広くブルー・ホーンのお腹全体へと放ちながら、お尻の方へと出た。


すると、ブルー・ホーンから出ていた蒸気が目にハッキリ見えるほど濃くなった。


そして、初めてブルー・ホーンがうめいた。


お腹が弱点、というよりは、あの噴気孔が弱点なのか。


さらに言うなら、僕の位置を蒸気で把握しているのならやりようはある。


この光明を逃すわけにはいかない。


まずは、風送りの魔法をなるべく風量を上げてブルー・ホーンへと放つ。


立ち上った蒸気が風に吹かれて剥がされた。


蒸気は追加で増えるけれど、僕に蒸気が触れなければいいのなら、そこまで問題にならない。


それに、ブルー・ホーンは自身の硬さへの自信と、そしてその身体構造から、方向を変えるのが遅く、また全体として突進以外と水光線以外はのんびりとしている。


勝機はある。


僕はブルー・ホーンが振り返きる前に、再度背中へと移動する。


蒸気は背中からは出ていない。


さすがに乗られたら感触で気づかれるだろうけれど、でも、背中に乗られたら暴れるしかないのはさっき見ていて知っている。


それに、ブルー・ホーンからしても僕がお腹側を攻撃するリスクを置いてまで、背中に放置し続けることはしないだろう。


だとしたら、次に来るのは巨大な水球だった。


僕が蜘蛛糸の魔法で相殺できないもの。


僕は囲われる前に、今度は側面へと飛び降りる。

そして、また壁を使って、お腹の下へと来た。


そこには一つ、光る水球が配置されていた。


でも、もうブルー・ホーンが賢いことなんて僕は知っている。

だから、これも予想の範疇だった。


僕は蜘蛛糸の魔法を使い、お腹へと張り付く。


さぁ、どうする。


僕は魔力をおもむろに練り始めていた。


特大の、そして僕が出せる最高火力の着火の魔法をお見舞いするために。


お腹にはそれこそ、指を差し込めるほどの穴が無数に開いている。


集合体恐怖症の人が見たらゾッとするかもしれない。


けれど、僕にとっては敵の弱点がたくさんあることに等しい。


ブルー・ホーンは水光線を僕にめがけて放ってきた。


つまり、自分のお腹に向けて、だ。


もしかしたら、最初に僕が耐えたことを覚えているのかもしれない。


でも、あれは耐えるために策を弄したからだ。


僕の貧弱さを舐めてはいけない。


それに、僕は来るのがわかっていれば、水光線は避けられる。

当たる直前、僕は寝った魔力を風送りに使い自分の体を壁へと吹き飛ばした。


水光線はブルー・ホーンの体を穿ち、そして、ラメの入った青い血液を地面へと滴らせる。


僕の頬が持ち上がるのがわかった。

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