30 : 迷宮第二階層
読んでいただきありがとうございます!
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楽しんでいただけると幸いです。
評価の方もよろしくお願いいたします。
迷宮、というよりも迷路にはいくつかの解法があると前世で聞いたことがある。
しかし、一番の問題は僕が一つを残して他は何も覚えていないことだった。
こんなことを言うのはなんだが、そんなのをちゃんと記憶している人なんて、
ゲームで迷路的なマップに何度も挑戦した人か、もしくは迷路マニア。
大穴で、効率中のプログラマーくらいだろう。
さらに、迷宮が現実となれば魔獣がいるわけであるし、
そうでなくとも食料的な問題で時間がかけられなくなる可能性すらある。
通常の遭難は、遭難しようとしてするわけではないが、
この迷宮は少なくとも挑む冒険者にとってみれば遭難しに行くようなものだった。
だからこそ、地図は大事になるわけだけれど、
今僕は地図が十分に作られていない層に入ることも考えて地図を持っていない。
さて、どうやって攻略しようか。
誰でもわかる簡単な方法は、端からしらみつぶしすることだ。
でも、これはさっきも言ったけれど時間的な制約のために難しい。
次に、他の冒険者の出入りを探る方法もあるが、
これは地図を見るのと変わらないから却下。
洞窟だったら、風の流れから出口を探れるが、
ここは迷宮だからそれもできない。
さらにもう一つ懸念事項がある。
下に降りる道が複数あるということは、そこからさらに下に降りれるかはわからないということだ。
例えば道A、道Bどちらからも下に降りれたとして、
道Aはさらにその下へと繋がっているが、道Bはどの道を選んでも行き止まり、良くて上の階層へ戻る道しかない、ということも考えられる。
前世で子供の頃にやった電子ゲームの嫌な記憶がよみがえってくる。
ただ、足を止めることも時間を使うことになるため、リスクだ。
ひとまずは、一つの道順だけ試しに行ってみよう。
ルールは自身が降りてきた道と地続きになっている壁側へと分岐し続けること。
要は、壁に手を当てて、その手が壁から離れないように行動することだ。
これだけが僕が持っている迷路の解き方だ。
実際に壁に手を当てるのは片手が塞がるし、壁に何か危険物がないとも言えないから、
手はつけない。
慎重に、でも時間は使い過ぎないように、ともなれば、また走るしかない。
僕は駆け出した。
そして、気づく。
一階層目と違って道が蛇行している。
一階層目は本当に人工迷路みたいな形だったが、二階層目からはもちろん道が整理されている部分は変らないが、直角の曲道がなかったり、高低差も微妙に感じられたりなど、より人を惑わすようにできていた。
僕が進み始めた道は、そこまで分かれ道がないところだった。
たまにある分かれ道も、最初に決めたルール通りに処理をしていけば、走る速度は一階層よりも速くなる。
途中で、ゴブリンが出てきたがすれ違いざま、首を切り落とした。
ドロップがどんなものか気になったが、本当にドロップしてきて驚いた。
ハンカチ落としましたよくらいの自然さで魔獣の体は消滅し、代わりに魔石だけがこつんと音を立てて地面に落ちている。
それをリュックにしまい、また進んでいく。
一時間くらいだろうか。
走り続けたがまったく元いた場所にすら戻らない。
まさか、蜘蛛の巣みたいに放射状に延々と伸びているわけではないだろう。
でも、今の僕は軽いランニングのペースといってもオリンピックの長距離走くらいのスピードは出ている。
距離にすれば、たぶん二十キロかそこらは走っているはずだった。
多少の分かれ道があったとして、もはやここが迷宮のどのあたりにいるのかすらわからなかった。
口を開けて、取水の魔法で喉を湿らせる。
まだまだ余裕はある。
食料の数日分は確保している。
しかし、いったん戻るか。
ベルトルトさんは迷宮には潜ったことがあるのだろうか。
あるのだとしたら、攻略法を聞いておけばよかった。
せめてファンタジーにあるような探索系の魔法があればいいんだけど、
でもだとしても半径数キロはある迷宮のマップを処理するなんて、人の脳ではできないだろうしなぁ。
かといって穴の深さを調べるみたいに魔法を前方へ向けて打っても、曲がりくねった道がそれを阻むだろう。
なんか心細くなってきた。
ずっと薄暗いこともあって、猛烈に日の光が浴びたくなる。
うん、帰ろう。
まともな攻略法を誰かから教えてもらわないと立ち行かない。
良い解決策がない場合は、体力が回復することを盾にした全力ゾンビアタックをするのも視野に入れないとな。
気落ちしながらも、もとの階段へと帰ってくることはできたので一安心だった。
外はもう暗くなっており、迷宮に入ってからゆうに五、六時間は経っていたことがわかる。
人は太陽がないとすぐに時間間隔狂うのかもしれない。
夜になってからだったため、宿屋は少し高いわりには質の悪いところしか空いていなかった。
やっぱり、両親に事情を話してお金をもらっておくべきだったかもしれない。
僕は自分のことをそれなりに冷静な行動がとれると評価していたけど、全然だ。
ネリが呪いを受けた瞬間からの僕の行動は、落ち着いているようでどれもミスをし続けている。
心細い。
それ以上に寂しい。
何も考える気がしなくなって、僕は寝た。




