英雄達との鍛錬
翌朝。窓の外から聞こえて来る声に、目を向けるとそこにはアインとクライスが晴天の絆達との鍛錬に勤しんでいた。
(朝から元気ねぇ。私は支度して朝食でも食べようかしら)
朝食を食べ終えたリズはセバン達に礼を言い、扉を開け中庭で鍛錬しているアインとクライスの二人の足を魔法で止める。
「なんだ?足が、くっ」
クライスは体勢を崩しながらもトウヤの剣を受けるが、続くライラの魔法は避けられず二人共魔技を全身に纏い威力の軽減を図る。
「大丈夫ですか?」
心配し駆け寄るトウヤ達。
「大丈夫だ」
と二人は振り向き、笑う犯人の姿を見る。
「やっぱりお前か、リズー!」
魔法を解かれた二人は体勢を崩し、その場に尻餅をつく。
「だらしないわねぇ。魔法攻撃には魔力の量を多めにするのよ。そんな情けない見本はいらないのよ?」
二人は悔しそうに黙る。
「まさか、突然動きがおかしくなったのはリズさんの仕業ですか?」
「えぇ。ちょっとこの子達の臨機応変力を見たくて」
マリの言葉にそう悪びれもなく答える。
「臨機応変だと?俺達が魔技で壊せない拘束魔法の使い手が相手とか世界に数人ほどしかいないぞ?」
「ならアイン。その数人が攻めて来たら死ぬの?あなた達がすべきは、拘束を解く事ではなく魔法を防ぎつつ追撃に備える事でしょう?これが実戦なら死んでいたわよ」
「・・・久々の指摘はきついな」
「あぁ。でも、確かに国を守る立場として今の言葉は凹んでばかりではいられない。実戦にやり直しは無いからな」
リズは二人の傷を癒し、トウヤ達に身体強化魔法を掛ける。
「なら、この状態の彼らと戦いなさい。人に教える事がいかに難しいかが分かるわ。トウヤ達は、その状態での体の感覚を忘れないようにしなさい。あなた達はまだ成長出来るのだから、いずれその状態が平常になるわ。その強化は、あなた達の潜在能力を引き出しているものよ」
はい。とトウヤ達はアイン達から距離を取り構える。
「・・・俺達も昔同じこと言われたな」
「あぁ。あの時はそんなバカなと思ったが、現に今はその言葉通りになっている」
クライスの言葉にアインは立ち上がりそう返す。
「なら、しっかりと先生としてあいつらを倒さなきゃな」
二人は昨晩の様に高濃度に魔技を融合させ、全身に纏い迎撃態勢を取る。リズは二人の表情を見て静かにその場を後にする。




