第11話「大樹攻略作戦ーボス編ー」
この回のお話も引き続きエアノ・アルファストが一人称視点となってお話が進むますので楽しんで読んでくれたら幸いです。
ヤバイな。ライノがおかしな事を言ってから何故かリアのことを変に意識し始める。……って何考えてんだ!今はカイトくんの事を助けることだけに集中しなくちゃ。
自分の両頬を両手で強目に叩く。それで無理矢理にでも気持ちを切り替え、リアから意識を反らす。
「(先から何やってんのよ、エアノは……ハァー、仕様がないここは双子のお姉ちゃんとして、エアノの恋の手助けをしなくちゃね!)」
何か企んだ目をしたライノがリアに接近するや否や話し掛ける。
「ねぇねぇ。リアって好きな人とか居ないの?」
いきなりにぶっ飛んだ質問。それを僕は興味ないふりをしながら、聞き耳を立てて後ろからこっそり聞く。
「好きな人か?」
リアが少し考え込む様子を内心ドキドキしながらも冷静を装い黙って聞く。
「そうそう。で居るの?居ないの?」
「ん~そうだな。強いて言うなら、この村の人達全員が好きだぜ。こんな捻くれた私に分け隔てなく優しく接してくれるからな」
珍しく少し照れた表情で答える。捻くれてる自覚は有ったんだ。それよりも恋愛的な意味でこっそり聞いていた僕は一人勝手に恥ずかしくなっていた。同様にライノも恥ずかしくなっていると、今度はリアが聞いてきた。
「逆にライノは好きな奴とか居るのか?」
聞かれることを想定してなかったのか、慌てて返事をする。
「え、え、えーと?その~、あ!アレ見て、分かれ道だよ。きっとどちらかが先へと続く道だよ」
丁度良いところに分かれ道が表れ。ライノは咄嗟に誤魔化し、分かれ道の方へとダッシュで向かい、リアの質問から完全に逃げた。
「お?何だ?分かれ道か」
そんな事を気にもしないリアも早歩きで向かう。僕も後を追い、分かれ道の所に到着。すると、僕たちの目の前には左の方向を差した矢印の看板が立っていた。
どう見たって怪しいな。わざわざ敵がこんな看板を立てるとは思えないし、確実に罠だな。それじぁあ、右に進むか。
「待ってよ。エアノ!そっちは違うよ」
僕が右に進もうとした途端、ライノが声を荒げて僕を止めた。何でだよ?絶対に右が正解だろ。
「だって、ライノの勘が左側だと言っているから」
なら尚更、右だ。何故かと言うと昔、僕とライノは村の近くにある森で迷ってしまって、その時にライノが勘で「こっち!」とその方向に進んで行ったら、怖い思いをしたからだ。それ以来ライノの勘を余り信じないようにしている。
それでもライノは左を強引に推して来るので見かねたリアがライノに近付き一言、呟いた。
「もし、右に行ってくれたら、何か奢ってやるぜ」
「し、仕方がないな。約束だぞ。必ずだからな。よし!右に行くぞ!」
食べ物に釣られたライノはあっさりと自分を裏切った。それに僕は不思議に感じ、思わずリアに聞いた。
「どうしてライノが食べ物を好きだって分かったんだ?」
「実は、アイツが私の民家に来た時に真っ先に食料を見てたから、そう思っただけだぜ。それよりもお前は色々と苦労してんだな。全く」
最後、リアに同情のような言葉を貰い、僕たちは右の方へと進んで行った。そしたら、予想通りに右が正解だったらしく。僕たちはそのまま頂上へと辿り着いた。
大樹~三階 頂上~
そこには呑気に樹木で作られた椅子に座る緑色のローブを羽織る男の姿があった。恐らく元凶だろ。しかも、予想していがローブ男だけは幼児化粒子の影響を受けなく。大人の姿のままで居るから気を引き締め戦わないと。
すると、此方の気配に気付いたのか椅子から立ち上がり、話し掛けてくる。
「よくぞ!此処までこれたなカワイイ幼き子供達よ。褒美にお菓子でもいるかな?」
お菓子を見せびらかす。瞬時に僕は危険を察知して、声を掛ける。
「ライノ、行くなよ。アレは罠だからな」
「う、うん。わ、分かってるよ。エアノ」
自分が言われるとは思ってなかった様子で戸惑いながら返事をしたが、本人は無意識で涎を垂らしているし、僕が言わなかったら多分、お菓子に食い付いていたな。
「おやおや。お菓子はお気に召さなかったのかな?じぁあ、おままごとでもするかい?」
更におちょくって来るので僕は我慢の限界で口を出そうとしたが、先にリアが口を出した。
「それより、村の人達を元に戻しやがれ!この変質者やろう!」
「嫌だね。この村はもう直ぐ僕の理想郷に変わるのだから!それと先程から口の悪い奴が居るから少し教育も必要だしね。その体でたっぷりとお仕置きしてあげるよ!」
ローブ男が戦闘体勢に入る。釣られてリアも戦闘体勢に入った。
「へ、やれるもんならやってみな。行くぞ!お前達!」
「「うん!」」
あれ?なんかリアがリーダーポジションみたいになってるけど良いのか?まぁ、別に良いか。
そんな事を考える間にリアがローブ男に斬りに掛かる。しかし、寸前で触手の樹木に防がれてしまう。
やっぱり、あのうねうねと動く樹木をどうにかしないと、上手く攻撃が当たらなそうだ。一体、どうしようか?
「ねぇ、ライノに良い考えがあるよ」
僕とリアはライノの考えを聞こうと、耳を傾ける。
「あのローブ男多分、見える範囲しか操れないと思うの。だから、ローブ男の後ろ側を狙えば良いんじゃない」
確かに見てる限りじゃあ、後ろはがら空きだしな。それにもし見えてない範囲でも操れるなら全体を樹木で覆うはずだからな。
「しかし、どうやって後ろ側を狙うんだ。かなり手厳しいぜ」
リアが疑問に感じたことを口に出す。そしたら、ライノが疑問に答える。
「それは……」
答えようとした瞬間、触手樹木が突如襲い掛かり僕は見事に二人と分断され、ローブ男が遠くから不気味な声を発した。
「そろそろ話し合いは終わりにして、お兄さんと遊ぼうよ」
流石に話す余裕が無いと感じたのかライノが簡潔に説明しようとする。
「兎に角ライノが合図を出すから、その時にエアノが」
“ドーン!!”
説明している最中に触手樹木の叩き付けた音のせいで最後まで話が聞けず。一先ず触手攻撃から身を躱わし、ライノの作戦を信じ合図を待つ事にした。しかし、ライノは大丈夫だろうか?幸いリアがライノと一緒に居るから多分、大丈夫だと思うが、まぁ今はライノに敵意が向かないように惹き付けるか。
“風のキセキ 螺旋風„
ローブ男に向かって螺旋風を放つ。だが案の定、樹木に防がれてしまう。でも、敵意は此方に向いたので良しとする。そして、襲い掛かって来る触手樹木をひたすらに躱かす。
「くっ!ちょこまかと動きよる。それならこれでどうだ」
触手樹木のスピードが素早くなり更に猛追を仕掛けて来た。それに僕はギリギリで反応し、避けつつ短剣も使い必死に防ぐ。とは言え長くは続かなく。不安定な足場に躓いて転んでしまう。万事休すか。そう思った途端にライノの声が聞こえた。
“雷のキセキ 雷撃の一矢„
同時に一筋の煌めく矢がローブ男に向かっているのが見え、気付いたローブ男は一旦、僕を襲っていた触手樹木の動きを止め。矢の放つ方向を向き触手樹木で防ごうとするが、矢は予想とは反してローブ男の斜めを上を通過して行った。
「フハハハ、一体何処を狙っていたんだい?さて今度はお兄さんの番だ……よ…!?ど、どうして俺の背中に先程の矢が刺さっているんだ!?」
「それは、ローブ男が油断している所に僕が風のキセキで空かした矢の軌道を変えてローブ男の背中に当てたからさ」
「く、このクソ餓鬼…が……グハァ!!」
暴言を吐いたローブ男が最後の力を振り絞って触手樹木を動かそうとしたが、呆気なく力尽き倒れた。
「フー、これでやっと村の皆が元に戻るぜ。にしても良くあの矢が作戦の合図だって分かったな」
一息吐いたリアが感心した表情で喋り掛けて来た。それに僕が返事をする前にライノが自慢気に話し始める。
「まぁ、ライノとエアノは双子だからね。これぐらい分かって当たり前だよね!」
僕に顔を向けて、同意を求める視線を送って来るので静かにコクりと頷く。正直、矢を外すまでは全然ピンと来てなかったが、そんな事は黙って置こう。それよりも、早く帰って、カイトさんの体が元に戻っているか、確かめたい。
「よし!そんじゃあ、村の皆の居る所に戻るか」
そう言いリアは来た道を戻ろうとした間際、突然に大樹が揺れ始めた。
「な、何だ!?」
僕は一瞬、大樹の根元が崩壊したのかと思ったが、それは違うのだと瞬時に気付く。だって、ついさっきまで矢に射ぬかれ倒れたローブ男が立っていたからだ。触手樹木を片腕に纏わせて強烈な殺気を放ちながら。
「まだまだ、お兄さんと遊ぼうぜ!なぁ、このクソ餓鬼どもがよ!」
ローブ男の殺気立った声に思わず距離を取ろうとする。だが運悪く躓いてしまい又も転んでしまう。その隙をローブ男は逃すはずもなく、纏わせた片腕の樹木を槍のように鋭くし、突き刺そうとした。嗚呼、僕は此処で死んでしまうのか。そう悟り僕は目を閉じた。
“闇のキセキ 双璧なる暗黒の盾„
突如、何処からか息の切れ掛かった幼い声が聞こえ、目を開けた。すると、僕の正面には禍々しくも何処か安心するような黒色の盾がローブ男の攻撃を防いでくれていた。
「ハァハァ、大丈夫か?ライノ、エアノ」
又もや僕とライノの安否確認する声が聞こえるので辺りを見渡す。そしたら、三階頂上の入り口に幼いけど希望の象徴たる姿がそこにはあった。
「か、カイトくん~~!!目を覚ましたんだね~~」
ライノは嬉しそうにカイトさんに飛び付くに行った。リアも驚いた様子でカイトさんに問い掛けた。
「ど、どうしてお前が此処にいるんだよ!?まだ、一日も経っていないのに?」
確かにどうしてなんだろ?僕も疑問に思っていると、ひっそりと後ろに隠れたリエルが姿を現して急に説明し出した。
「それはですね……私の時のキセキの力で不動様の経過する時間だけを倍速にしたんですよ。だから早く目覚めたんです」
説明がし終わり、リアが興味在りそうに聞く。
「時のキセキ?ほぉ、リエル珍しいキセキを持ってるんだなっとそんな事は後でじっくり聞くとして、今はローブ男を倒すぞ!!」
途中で聞きたい事を後回しにしたリアは気持ちを切り替え、大きく気合いの入った声で皆を鼓舞した。
「フン、たった餓鬼一人と羽根の生えた小人が増えた位で俺が倒せると思うなよ!それに今度は本気で行くぞ」
ローブ男は威圧感のある表情で煽ってから触手樹木たちを全身に纏わせる。嘘だろ!?何で見えてない後ろ側を操っているんだ?
「驚いたかクソ餓鬼ども?俺は樹木を全身に纏わせす事も出来るんだぜ。先程は油断して使わなかったが、今回は本気でお前らを打ちのめす!」
全身に樹木を纏わせ終わったローブ男が殺気立った瞳で此方を見つめ、両腕の樹木を再び槍のように鋭くし、猛ダッシュで突っ込んで来た。
けど、全身に樹木を纏わせているのか、そんなに速くはなく単純な足の速さ比べでは僕たちが速いので簡単に距離を取ることができ、僕は螺旋風で様子を見る。
「フハハハ、そんな貧相な攻撃など聞かぬは!」
分かってはいたが、螺旋風程度じゃあ、ローブ男の樹木の鎧には傷一つ付かない。何か良い方法はないのか?……そうだ!
「カイトさん、あのキセキって使えない?闇を剣に纏わせたあのキセキで樹木ごと斬れない?」
閃いた僕はリアとライノが相手をしてくれている隙にカイトさんの所に向かい質問した。すると、はっきり即答で答えた。
「いや、無理だな」
予想外の返しに少し動揺しながらも「どうして?」と聞き返した。
「だって、幼児化した時、一緒にキセキの使える量も減っちゃたから使えないんだ」
申し訳なさそうに話す。何でカイトさんは使える時に限って使えないんだ?でも、どうすれば良いんだ?
「おい、なんか俺の悪口を言ってなかったか?」
「べ、別に言ってないよ。とそれよりもカイトさん!ローブ男が此方に来ますよ!」
そう注意した後に向かって来たローブ男に僕は距離を取る。カイトさんは盾を設置して攻撃を防ぐ。その間にローブ男の後ろ側に回り込み、勢い良く短剣を振った。
くっ、思ったよりも硬い。しかも短剣まで折れてしまったし。だが、少しだけ音がおかしかった。まるで中に空洞が在るかのような音がした。これは使えるかも。中の空洞に僕のキセキで風を起こせさえすれば……兎に角やってみるか。
僕はもう一度ローブ男に近付き今度は樹木の鎧にそっと手を当てて風を送り込む。
「な、何をするんだ!このクソ餓鬼が!」
流石に風を送り込んでいるのに気付き攻撃を仕掛けて来る。ヤバい!そう思ったが、不意にローブ男の動きが止まった。良く見ると、ライノがキセキでローブ男の体を縛り付けていた。
チャンス!此処で一気に風を起こり込む。そして空洞の許容量が限界を越えて外に出ようとする風の圧で樹木の鎧が弾け飛ぶ!
「ぐはぁ!!」
ローブ男の苦痛の声と共に纏っていた樹木の鎧が風の圧により弾け飛んでバラバラに砕け散る。これで漸く樹木の鎧が剥がれて丸裸同然となったローブ男に追い討ちを掛けようとライノに合図を送る。
「ライノ!今だ!」
「分かってるよ」
ライノは頷き一言そう言ってから矢を構え射った。
“雷のキセキ 雷撃の一矢„
よっしゃ!見事に命中したな。これで時期に幼児化が元に戻るはずだな。僕たちが安心仕切っていると、リアだけ納得行かなかった様子で戦意喪失したローブ男に近寄り更に追い討ちを掛けるかの如く一言言い放ち。
「これはおまけぜ!」
樋部分を力いっぱい全力で振りかぶってローブ男の姿が見えなくなる位まで遠くにふっ飛ばした。
やり過ぎだろ。と思ったが、今更止めることも出来ないので天罰と思い見送った。その後、僕たちは崩れ始めた大樹を無事に脱出し、村の皆が居る所へと戻ったのだった。
ー1週間後ー
ローブ男を倒してから1週間が経ちカイトさんの体も徐々に元の体へと戻って行ったが、そんな事よりもリアと僕たちが同い年だった事が驚いた。まぁ、今はもう驚きはなくない。慣れてしまったがな。そうして僕たちは次の村に向かう為の準備が終わり。もう直ぐで出発しようとした頃、僕はリアを呼び出していた。
「どうしたんだよ?私を呼び出してよ?」
フーフー、落ち着け落ち着けんだ。心臓辺りがドキドキと音を立てる。それに何故かリアと話すだけなのにめちゃくちゃ緊張する。けど、今しかないと思う。だから、僕の全力を込めて言うんだ!この気持ちを。
「リア、急で申し訳ないが僕たちと一緒に旅をしてみないか?」
頭を下げ手を差し出し、精一杯の気持ちを伝えた。リアは少し考えてから答えを出す。
「……いいや、私は遠慮しとくぜ」
「え?何で?」と頭を上げて言う前にリアが続けて話した。
「だって、又いつローブ男みたいな奴が襲ってくるか分からないし、それに私はこの村が大好きだからな!全く。だから、お前たちの旅には着いていかないぜ。でも、遊びには来いよな」
リアの満面の笑みに対し今のこの悲しい気持ちを押し殺して此方も笑顔で返事を返した。
「うん。またいつか遊びに来るよ」
「おう!それじぁな。エアノ!」
お別れの挨拶し終わり。去り際、涙が溢れそうになったが必死に抑えつつ、手を振るリアに僕は手を振り返しそのまま荷台に乗り。次の村へと向かったのだった。
「なぁ、ライノ、何でエアノそんなに落ち込んでるんだ?」
座り込んで俯いている僕に心配に感じたカイトさんが少しだけ顔を此方に覗かせて隣で慰めてくれているライノに問い掛けた。でも、ライノは気を使ってくれたのか、立てた人差し指を静かに口元に当てながらこう言った。
「それはヒミツだよ」
それに察したカイトさんは慰めの言葉を掛けてから再び前を向いた。
「そ、そうか。まぁ…その…ドンマイだぞ。エアノ」
こうして僕の初恋?か分からない物語が儚くゆっくりと幕を閉じていった。
のこり残機《84》




