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不屈勇者  作者: 椎名 鍵
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第10話「大樹攻略作戦」

この回のお話はエアノ・アルファストが一人称視点となってお話が進むますので楽しんで読んでくれたら幸いです。

 「よし!着いたぜ」


 立ち止まったリアがそう言いい僕たちは見上げるようにキセキで作られた大樹を眺めた。


 遠くから見てもかなりデカかったのに近くで見ても凄くでかいな。それに天辺が全く見えないしってそうじゃないな。先ずは入り口を見つけないと。


 すると突然、リアが大樹の目の前に立ち網目状に重なった木と木の隙間に剣を差し込み「よいしょっと」と掛け声を掛け、左右に剣を振り始める。


 いやいや流石に無理だろ。だって隙間が有るとはいえ、触る限り頑丈な作りをして居るし、多分無理だろ。それよりも他に入れそうな所を探すか。ライノと一緒に他の所を探索しようとした瞬間、バキッと何処からか開いたような音が鳴り。


 「二人とも開いたぞ」


 ハァハァと息を切らしながら言った。一体どうやって開けたのか疑問に感じた僕はリアに聞いてみた。そしたら自信満々に答えた。


 「テコの原理を利用したんだよ」


 だが、どう見たって乱雑に切り刻まれたような後があるしテコの原理って言うより力業で開いたと言った方が正しいと思ったが結果的に開いたので別にどっちでも良かった。まぁ、今は一刻も早く元凶を倒してカイトと村の皆を救うんだ。そう思い僕たちは大樹の内部へと入って行った。


 大樹~内部 一階層~


 内部は大樹に覆われていて外からの光が殆ど遮断され、更に外が夜なのが相まって木と木の間から月光が差し込む程度しか光がなく、綺麗ではあるが正直、暗くて足元が見えないから厄介だ。


 “雷のキセキ 雷球„


 ぐちぐちと僕が呟いていると、ライノが気を利かせて辺りを明るくしてくれた。これなら安全に進めるな。然して先を進んで行った。


 暫くして歩いていると何重にも重なった樹木たちが僕たちの行く手を阻むが如く立ち塞いでいた。


 「何だよ。これは?」


 リアがキレ気味の声でその何重にも重なった樹木たちに触れると突如、その木の方向から中年おっさんのような渋い声で話し掛けてきた。


 『問題です。パンはパンでも食べられないパンは一体なんでしょうか?』


 「は?そんなのいいから早く開けろよ!」


 『それは出来ませんねぇ。何故ならここの問題を解かないと先へは進めない仕組みに成っていますからねぇ』


 どうやらこの声の主の出す問題を解かないと先には進めないらしい。しかもここ以外のルートは他にないので絶対に解かないと行けないと言うことだな。


 「分かった、分かった。そう言うことなら。答えはフライパンだろ?」


 リアが適当に返事し、答えを言う。


 『ブッブウ。不正解だねぇ』


 「は?どう見たって合ってるだろうが!」


 『違うよ。だって君達には食べられない物かもしれないけど僕達にとっては食べられる物だからだねぇ』


 なるほど。そう言うことか。つまりは人間(僕たち)が食べられないパンじぁなくて樹木たち(出題者)にとって食べられないパンを予想して当てなくちゃいけないのか。


 「はぁ!?そんなの卑怯じゃないか。聞いてもいないし」


 『だって聞かれてもいなかったからねぇ。そんなことよりも間違った君にはねぇ。お仕置きが必要だねぇ』


 声の主が口笛を吹くと、急に壁に貼り付いていた樹木たちが触手みたいにうねうねとし始めて、もしかして敵か?


 武器を構え、警戒したが樹木たちは興味無さげに僕たちを素早く通り過ぎて行き、リアの腕や足などを力強く巻き付いた。


 『さぁ、お仕置きの時間だ』


 そう言うと樹木たちが棘のように尖り、まさかその尖った木リアの体を貫くんじゃないか?早く止めないと!直ぐに察しがついた僕はいち早くリアに巻き付いた樹木たちを切ろうとしたが、間に合わなくて思わず目を瞑ってしまった。


 「ワハハハ、やめ……ワハハハ」


 目を瞑った僕に聞こえてきたのは悲鳴では無く、気の抜けた笑い声が耳に届いた。不思議に思って目を開け、見つめると体を大の字に広げられて脇をくすぐられたリアの姿が見えた。


 『全員が答え終わるまでくすぐりの刑に処す』


 どうやらお仕置きとはくすぐりの事だったらしいな。まぁ、兎に角一安心だな。そう思い笑い声を上げるリアの声を聞きながら再び答えを必死に考える。


 「ぜ、ぜ、絶対にぶ、ぶち殺すてや、やるからな」


 途中に強烈な殺意が込まった声が聞こえたが、それでも無視して考える。すると、ライノが閃き答えを言い出す。


 「あ!分かった。答えはフランスパンじぁない?フランスパンなら硬くて食べられないでしょ!」


 ライノが自信満々に言ったが多分、答えは……


 『ブッブウ。不正解だねぇ。僕達にとって硬さなど関係ないのだよねぇ』


 だろうな。と分かりきった反応をした。そしたら先程のリア同様にライノもあっさりと樹木たちに捕まり脇をくすぐられ始め、回答者が僕だけになり。いきなりの大ピンチを迎えた。


 ……どうするか?残りの回答権は一回しかないし。そのたった一回でどうやって答えを当てなくちゃならないんだ。せめてヒントさえあれば……ってそう言えば、声の主はリアとの会話の最中にこんな事を言ってたな。『だって聞かれてもいなかったからねぇ』と、つまりは質問したら答えてくれるって事だな、多分。まぁ、試す価値はあるな。


 「その食べられないパンは、フランスパンと比べて柔らかいのか?」


 暫し黙りみんでから頷いた様子で返事を返す。


 『……うむ。柔らかいねぇ』


 よし!ビンゴだ。なら次の質問だな。


 「じぁあ、その食べられないパンは何パンなんだ?」


 『それは答えられないねぇ』


 声の主は即答で答える。まぁ、そうだよな。流石に答えをすんなりとは言ってくれないか。でも、質問には答えてくれる。それなら質問しまくって何とか答えまで導く。


 「その食べられないパンの中には何かが入っているか?」


 『いや、一切入ってないねぇ』


 と言う事はカレーパンやあんパンじぁないって事だな。でも答えには少しずつ近付いているし、この調子なら行ける。そう確信した途端、声の主が思い出したかのように口を開き話し掛けてきた。


 『あ!それと、いい忘れていたけど質問は一人に付き三回までだから気を付けてねぇ』

 

 は?それって僕はあと残りの一回しか質問出来ないのか!?くっ、こえなったら一か八かの質問を言うか?いいや、言うんだ!


 「最後の質問だ。模様はあるのか?」


 何となくだが予想を立てているが、その予想したパンの特徴があるかどうかが鍵だ。これでもし模様がないのなら僕はおそらく答えられないと思う。さぁ、一体どっちなんだ?


 『最後の質問はそれで良いですかねぇ』


 内心、ちょっと不安になっている僕を声の主は煽る感じで聞いてきた。けれど、僕は自分を信じ質問を変えずにそのまま「良いよ。その質問で」と返事を返した。


 『分かりましたねぇ。では質問に答えますねぇ。模様は……ありますねぇ』


 よし!これなら答えが分かるぞ。僕の予想が正しければきっと答えは……

 

 「メロンパンだろ?」


 『本当にそれでよろしいですかねぇ?』


 又しても不安を煽るように揺さぶりを掛けてきた。でも僕は揺さぶりに負けずに自信を持って答えを貫いた。


 「あぁ。ファイナルアンサーだ。」


 『……正解だねぇ』


 声の主が溜めてそう言った直後、何重にも重なって塞いでいた樹木たちがにゅるにゅると退いて行き新たに道が開いた。次いでにリアとライノに巻き付いた樹木たちも退いて行った。


 「ハァハァ、やっと解けたぜ。全く。それよりもあの声の主をギッタギタにしてやろうぜ。なぁ出てこいよ!ビビってんじゃねぇぞ!」


 リアは心の中に秘めた殺意を解き放ち。声の主をあぶり出すために無作為に暴れ始めた。すると、ライノがつんつんと僕の肩を優しく突いて、問い掛けてきた。


 「ねぇねぇ、エアノこの状況どうする?」


 「う~ん。まぁ、放って置いても良いんじゃないか?ここまで来るのに歩き疲れたし、ライノも笑い疲れたし、リアの怒りが収まるまで少し休憩しようか」


 「うん。そうだね」


 そうして僕たちはリアの怒りが収まるまで暫しの休憩を挟んで次の階に行ったのだった。


 大樹~内部 二階層~


 ん?何だあの凶暴な犬の顔が三つもあるモンスターは?


 「アイツの名前は確かケルベロスだったぜ」


 ケルベロス?どっかで聞いたことのある名前だな?まぁ、今は良いか。それよりもケルベロスの後ろ側にカギ穴の付いた門がある。だとしたら多分、門を守るように立っているんだな。


 「ねぇ、アレ見てよ」


 僕が考察をしている間に何かに気付いたライノがケルベロスの頭が枝分かれしている根元辺りを指差して僕とリアの視線を誘導した。


 そこにはケルベロスの根元にカギが首輪の如く巻き付けられて居るのが見え。なるほど。要するにケルベロスの根元に巻き付けられているカギを取って門のカギ穴に差し込めば良いと言うことだと理解する。


 「丁度良いな。先程の鬱憤がまだ残ってた所だったし。ケルベロス(アイツ)には申し訳ないがストレス発散の相手をしてもうぜ」


 リアは意気揚々と単身突入で突っ込んで行く。それを止めても無駄だと悟った僕とライノはその間にカギを取る作戦を考える。


 見た感じかなり強いからゴリ押しで勝てそうな相手じゃないし。せめて弱点とか合ったら良いのに。そう思った矢先にライノがピント来た様子で声を上げた。


 「あ!思い出した。エアノ、ケルベロスってさぁ。昔、お父さんが自慢げに語ってた“ブユウデン”とか言う奴に出てきたモンスターじぁなかったっけ?」


 あ~そう言えば、そんなのを語って居たっけな。ただ僕は子守唄程度しか聞いてなかったから余り覚えてないけど。


 「確かねぇ。お父さんはケルベロスの弱点みたいなことを言ってたの。」


 弱点みたいなことをか?でも、語って居るのってお父さんだし。信用できるか?そんなちょとした不安が顔に出るとライノが後押しするように一言、声を掛けた。


 「やる価値はあるんじぁないかな?」


 それもそうだな。他に当てもないし。やるだけやってみるか。と決心の付いた僕は直ぐ様、作戦を立ててライノに伝えた。


 「それじぁあ、僕とリアがケルベロスの注意を惹くからその隙にライノが弓で弱点部位を狙って。それで怯んだ時に僕がカギを回収するから。そう言う作戦で良い?ライノ」


 「うん。任せてよ」


 ライノの自信あり気な返事に安心し、武器を構えてケルベロスの方へと向った。


 “風のキセキ 螺旋風„


 不意打ちに放った螺旋風が見事、胴体に命中し怯んだとかと思いきや敵意をこちらに向けて来たので声を出して誘導する。


 「此方だぞ。ケルベロス」


 僕の声に釣られたケルベロスは一心不乱に真っ直ぐ向かって来た。


 よし!この状況ならライノの当てやすい位置まで簡単に誘導出来そうだ。そう確信した最中、邪魔をするかのようにリアが横槍を入れる。


 「な、何をするんだよ!?」


 呆気に取られながらも反射的に声を出す。したらばリアは少しキレ気味に答える。


 「は?助けてやったのに、その言い草はねぇぜ。全く」


 あっ、そっか。リアには僕たちの作戦を知ってなかったんだったな。でも今は伝える余裕もないし、リアも聞く気はないっぽいから、リアには申し訳ないが上手く利用さしてもらうぞ。


 一旦、後ろに下がりキセキでの援護射撃に移り変えた。しかし、先程のから牽制をしているが何故ライノは一向に射たないんだ?不思議に思った僕はふとライノの方へと目を向けた。


 ……そう言うことか。ライノは多分、一撃で弱点部位に当てたいんだが、的がちょこまかと動き回って狙いが定まらない。それならケルベロスの動きを止めれば良いって事だな。なら、これでどうだ!


 “風のキセキ 束縛風„


 ケルベロスに向かってキセキを放ち、動きを封じようとしたが案の定、力が強く一瞬で解かれ、僕に噛み付こうとした。


 咄嗟の出来事で僕は噛み付いて来たケルベロスを剣で防いだ。にも関わらず、ケルベロスは防がれてない方の頭を使って僕の腕を噛み付く。


 「くっ、、」


 思わず苦痛の声が漏れてしまう。咄嗟に剣で防いだ時に分かっていたことだが、かなり痛い。それに噛み付かれた所らへんの服がどんどんと赤く染まっていく。


 そんな状況でも僕は意識を保ちつつ、何とか動きを止めれたので力を振り絞り、強気な声で合図を出した。


 「今だ!ライノ!」


 「うん!」


 「(エアノが体を張って動きを止めてくれている。今がチャンスだ。それにカイトくんが教えてくれた練習の成果をここで見せてやるんだ!……フゥー、よし!ケルベロスを的に見立てるんだ。弱点の所を中心だと思って。そこに狙いを定めて……射つ!)」


 “雷のキセキ 雷撃の一矢(ライトニングショット)


 勢い良く射った矢はブレることなく一直線に弱点部位へと当たった。すると、ケルベロスは音を立てて大きく怯み。その隙にリアが巻き付けられたカギを掴み取った。そしたらケルベロスは枚散る粉の如く消えて行った。


 どうやら、ケルベロスはカギを取られると消える仕組みになっていたんだな。とどうでも良い考察をしている合間にライノがダッシュで心配そうに近寄って来た。


 「エアノーー!!大丈夫?死なないよね?」


 涙ぐんだライノが抱きついてくる。ついでに猛烈な痛みも襲い掛かる。その痛みに耐えきれず、反射的にライノを突き放す。


 「これ位じゃあ、僕は死なないよ。痛いけど」


 「ホントに?でもどうしよう。薬草程度じぁ治りそうもないし……」


 確かに、この傷だったら治りそうもないし、どうするか?僕は何かしらの方法を考えていると……


 「ほら、回復液だ。これで少しはマシになるだろから使えよ。その間に鍵を開けておいてやるぜ」


 そう言ってリアは緑色の液体が入ったビンを雑に渡した後に扉のカギを開けに行った。


 「リアって結構、優しいんだな。さっきも僕が追われてた時に助けようとしたし。以外と僕は好きかもしれないな。リアの事を」


 回復液を噛み付かれた腕に塗りながら僕は意図せずにそう呟いてしまう。それを間近で聞いてたライノはニヤリと嬉しそうな表情で喋り出した。


 「もしかしてエアノ……リアのこと好きになっちゃたの?」


 「ち、違うよ!ライノ!そう言う恋愛的な意味じゃなくって、性格的な意味での好きだから」


 何故か僕は必死に弁解しようとしたが、リアは怪しそうに見詰めて呟いた。


 「ホントかな~~」


 まだ怪しんで来るので更に弁解しようとした瞬間、扉の方から僕たちを呼ぶ声が聞こえてきた。


 「お~い!お前たち扉が開いたぜ」


 「ほら、ライノ、扉が開いたことだし先に進もうよ」


 口ではそう言ったものの心の中ではグッジョブ!と思いながら僕は次の階に進む扉へと少し早歩きで向った。








  のこり残機《84》

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