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全くの別人として生まれ変わる道を選んだ。
それまで私の名前は「リンダ・セカンド」だったが「ニナ・コールマン」となったのだ。
正直、私はホッとした。
これでリンダのクローンとしてのコンプレックスとも、おさらば出来るのだから。
8年が過ぎて、私は科学に関する仕事ではなく最も縁遠いであろう傭兵となって、生計を立てた。
元々の適性は当然、良くはなかったが、とにかくリンダを思い出させるようなものは生活から遠ざけたかったのだ。
もう、誰も私を「リンダのクローン」とは呼ばない。
単なる「大したスキルもないC級ランクの傭兵」だ。
私には、その不名誉な肩書きでも何だか嬉しかった。
さらに8年が経った。
私はリンダが死んだときの年齢、26歳になった。
私自身は一切、非合法な依頼は受けずに傭兵稼業を続けていたが、たまに関わる者の中には、怪しい副業に手を染めている輩も居た。
その1人、宇宙船乗りのケイン(副業は密輸だと私はにらんでいた)が私との打ち合わせ場所のバラック内で殺害される事件が起こった。
私が第1発見者だ。
犯人はケインをナイフで、めった刺しにし、その死体の両腕を広げ、両脚を揃えて横たえていた。
まるで十字架のように見えた。




